最終話:図られたパパ上










「リカちゃん、人形……だ、と?」











 思わず口元を押さえてしまう。

 感激でではない、驚きで、だ。



 ど、どういうことだ? なんでこの箱の中にリカちゃん人形が。

 え、逆にここに入っていることが怖いんだけど、え、え、なに、何が起きたの?

 私の超合金は? 私のお金のなるシールは????

 いや待て、落ち着け。


 その前に、これは、リカちゃん人形なのか?

 確かリカちゃん人形にはいっぱい種類があったはずだ。


 ち、違う! 今はそんなことを考えている状況ではない!




「え、パパ上……? 大切なものって……この、にんぎょ――」

「ち、違う!? そんなわけないだろ!? お前、何言ってんだ!?」

「でも、入ってたのは確かだし」

「入ってたかもしれんけど、そもそもこんなの箱の中に人形が入っていたこととかに驚こうぜ!」



 疑いのまなざし。

 子供の、私に向ける視線が、




       引いている。





 いや、落ち着けお前ら。

 私がただこの箱を開けただけであって、私の思い出の箱とかそんなこと一言も言ってないのだからこれが私の仕業だと思うほうがおかしいだろう!?


 いや、言った! 思い出の箱だって言ったな私!

 すいません! でもそれは箱であって箱の中身もそうだけど、だけど、入っていたこれは思い出の品ではございません! いやまぢで!


 ほんとに違うんだって!

 だってここ、ここに入ってたはずだもん! 超合金ガン〇ムとかビック〇マンシールとか! 偽物ゼウスなんて複数枚持ってたんだもん! ほら、見せてやるからこっちこい! いや箱の中にないけどさっ! あるのはリカちゃん人形なんだけどさっ!


 ダメだ!

 なにやっても弁解できる気がしねぇ! おぉぅ! 妻であるティモシーの目がやべぇ、やべぇよあれ。人を目だけで殺せる系のやつだよ!


「そういやあんた、昔、ここに籠って、その人形のスカート捲ってたね。大事にしまってたんやねぇ」


 そんな黒歴史、今持ち出さないでくれないかな!?

 あれは人形のスカートがめくれてたから戻してるところをあんたが目撃したんだっていってんじゃん!

 人形ってなんでパンツ履いてるんだろうとか思ったりなんかしてないってば!






 そんなことをいって笑いあう家族。



 我が家ならびに我が一族は、



 今日も、



 平和である。


























「あ、ちなみに、そこに人形いれたのわたしやちゃ」





 待て、実姉様!

 だったらそこにあった超合金やらシールやらはどこへやった!?

 ま、まさか……







 実姉様は、





        にやりと、笑う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【KAC20243】パパ上様日記 ~我が実家の箱~ ともはっと @tomohut

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ