アダルトビデオと白い粉

@sanrenkyu

第1話 新宿西口スバルビル

2004年2月 朝8時 新宿西口スバルビルの周りはアダルトビデオを撮影するロケバスでごった返していたその数約 10台それぞれのメーカーがバスを手配しAV女優、男優、スタッフなどを乗せ各スタジオ、ロケ先に行く 新宿西口スバルビル前はAV業界では待ち合わせの定番とされていた。ビル下の自販機の前にはプロダクションと呼ばれるAV専用モデル事務所のマネージャーが携帯を睨めっこしながらAV女優の到着を待つ、AV女優は早起きが苦手な者が多く時間通りに到着するものは少ない、マネージャーは遅刻するAV女優を叱るでもなくやっと来たという安堵の表情をしながらメーカースタッフにAV女優を引き渡した。女優引き渡しの行為をAV業界ではイレコミと言われている。読者にあらかじめお知らせいたしますがこの書物はAV新法が施行される約20年昔の話しである。この時代のAV業界にはまず自由があり怪しく胡散臭い業界団体など存在せず、実力があってもなくてもそこそこ楽しめた時代であった。

主人公の桜田浅一25歳 男性 は業界経験6ヶ月、プロダクションのマネジャーである前職は麻薬売人を5年従事し取り扱い商品は主にコカインと大麻であった。

桜田のAV事務所は池袋に存在し、事務所名はキャンディ。従業員5人AV女優70人ほどの業界内では割と大きいほうの事務所である。

ある日の午後1時キャンディ代表の村上は事務所に出所するとオフィスのパソコンの電源を入れ、所属するAV女優の宣材写真のチェックを始めた。事務所には事務の綾波ルイ21歳女性がお茶の支度をしている。AVプロダクションキャンディには70名程のAV女優が在籍していて単体、企画と女は分別され其々売り出しかたが違ういずれも消耗品ではあるが、企画より単体の女のほうがギャラが高額なため重宝される。女はAV女優になるであるが借金の返済、ホストの売り掛け、親への仕送りなど理由は様々であるが大体欲に身を任せた女が多くだいたいが金と時間にだらしがない。女は雑誌の求人欄かスカウトをきっかけにAV女優になるのであるが最初にする仕事は宣材写真の撮影である。

村上は新人AV女優のB子の画像フォトショップで加工している、リスカと根性焼の跡を隠しているのだ、B子は雑誌の求人をみてキャンディに応募してきた女である、村上はため息をついた。

「この子リスカと根性焼がなければブレイクしたのになー」

すると事務の綾波が村上のパソコンを覗いてきた。

「新人のB子さんですか?はーこの傷ですかB子さん病んでますね」

その時事務所の電話が鳴り響いた。

リリリリリリリリ

綾波が電話を取る「お電話ありがとうございます。キャンディ綾波です」声がエロい

同業者からの電話だ。

「社長。稲川プロの相馬さんからお電話です」

村上はこのあとB子に関してあまり良くない知らせを聞く事になる。

「はい、分かりましたそれで大丈夫です」

村上は受話器を置くと 「チッ」と舌打ちをし、デスクにあるマルボロメンソールに火をつけた。B子は昨日の宣材写真撮影のあと新宿伊勢丹で買い物をしその後店を出たところで二枚目のスカウトマンに声をかけられたB子はスカウトマンにキャンディプロより条件の良い事務所がありと入れ知恵をした後B子はその日のうちに稲川プロに寝返った。

村上は宣材写真撮影のあと新宿の駅まで送っていればと悔いた。


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