メッチャメチャ人を呪ってくれる箱
常闇の霊夜
呪いの小箱
人を呪わば穴二つ。誰が言ったか分からないが、呪いと言う物はかけた方かけられた方両方苦しめられることになる。
だがもし、もしだ。
もし仮に一方的に誰かを呪う事が出来る箱を拾ったら……。貴方はどうしますか?
「って貼られててんだよねこの箱に」
「……。はぁ」
彼の名は『
雪国に住む一般高校生である。人に恨みを買う事は無いし、誰も恨んでいない人物。
「人を呪うって良く分かんないしさぁ~。どうしよ?」
「いや俺に聞くなよな?」
そして彼の話を聞いている人物は『
「てかどこに落ちてたんだよそれは」
「え?確かどっかの寂れた神社の裏だったかなぁ……」
「なんで拾って来たんだよ」
「え?……なんとなく?」
「なんとなくで拾ってきていい禍々しさじゃねぇだろそれ……」
二人は箱をまじまじと観察する。血のような色をした外装に誰かの手型がビッチリと付けられており、どっからどう見てもロクな物質には見えない物であった。
ため息を吐きだすと鴨居は言葉を続ける。
「捨てて来いそんなもん……」
「えーでもさぁ」
と、雪崩がそう言いかけた時間に入ってくる人物がいた。
「あっおい!何を学校に持ち込んでいる!」
「げっ先生!いや違うんですコレは民俗学の取材でですね……」
「没収だ没収!」
彼らの先生である。そう言って箱を取り上げると何事もなかったかのように授業を始めた。
その放課後、二人は雪崩の家にやって来ていた。
「で。あの箱取り戻さなくていいのかよ?」
「なんか知らんけど使いたいんだってさ。お金くれたんで黙ってるつもり」
「お前……!……後で俺にもなんか奢れよな!」
その翌日。
二人は学校に登校したが教師が来ない事に違和感を覚えていた。
普段ならもう既に来ている時間だと言うのに、何故か姿を見せない。
「あの先生来ねぇな」
「遅刻でもしてるんじゃない?」
二人が呑気にそう言っていると、他の先生が慌てた様子でやって来てこう言い始めた。
「先生が……亡くなったとの事です……」
ざわつき始める教室。その中で二人だけは何故そんな事になったのかを知っていただけあり、本気で困惑していた。
「……え?あの呪いの箱って確か……一方的に呪えるんだろ?」
「試したことは無いから分かんないけどそう書いてあった」
「だよな。……じゃなんで死んでんだ?」
二人はとりあえず葬式に立ち会う事にした。一応生徒と言う事ですんなり入る事が出来た。
そして最後に何をしていたのか先生の母へと問いかける。
「あの~。最後にあの先生が何かやってたって覚えてますか?」
「私の息子ですか?……最後に何か叫んでいたのは知っていますが……まさかあんな事になるなんて……」
彼の死因は溺死。だが部屋の中には溺死出来るほどの水は無く、また肺の中にはあり得ない量の水が大量に入っていたとされている。警察もコレは調べても分からない事件だと迷宮入りしてしまった。
「部屋で溺死なぁ……。ってどうした雪崩?」
「……。いやその……。あの呪いの箱って二個あったんだよね」
「……。えっそうなの?」
「うん。それを言おうとしたら取られてさ……」
雪崩の家に帰ってみれば確かに二つ目の箱があった。それはあの箱と違い白く眩く輝いていた。
「コレ持ってくるわけにもいかんでしょ?」
「……って事は、あの箱二つで一つの物だったって事か?」
アレコレ考えるが、結局分からない物である。何故ならば誰を呪ったのかは分からないし、仮に呪っていたのだとしてもアレが本当に呪いの道具なのかは分からない。
既に箱はどこかへ行ってしまったというのもまた困るところだった。
「ま、アレだ。結局良く分からないから帰って寝ようぜ!」
「……今だけはお前のそう言う考え方、良いと思うわ……」
ちなみに、未だに箱は見つかっていない。
メッチャメチャ人を呪ってくれる箱 常闇の霊夜 @kakinatireiya
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