箱入り令嬢の85日間の箱庭戦争〜悪役令嬢? ハハッ、おもしろい冗談ね。56してやる〜
タルタルソース柱島
おまえ、箱詰めにして実家に送りつけるぞ?
「見損なったぞ! スカトーラ嬢! 貴殿との婚約は破棄させてもらう!!」
「あ゙?」
ハリウッド映画に出てきそうなバリイケメンが、突然キレ散らかし怒鳴った。
見知らぬ面々の視線が痛い。
エリオット・オニールって言ったっけ?
何だコイツ。
スカトーラ・ボクスター。こちらは異世界に転生したあたしの名だ。
どういう位置づけのキャラクターかっていうと、いわゆる箱入り娘、貴族令嬢ってやつらしい。
いや、そもそもファンタジー? ファンタジーっていうの?
そういうの全然詳しくないし、何だったら乙女ゲー? とか見たことも無いし!
でも、とりあえず急性アルコール中毒死したらしいあたし。
自称神とかいうおじいさんに悪役令嬢に転生させるから運命を変えてヨロシク! とか言われたってワケ。
なんだ悪役令嬢って。
アレか、箱入り娘的なお嬢様ってことか、ってところまでは理解した。
連作モノの映画みたいなダイジェストっぽいものはあったよ?
帝国暦ナントカ、戦乱に疲弊した各国は有力な貴族同士で婚姻を結び・・・・・・。
長ったらしい説明って苦手なんだよね。スキップスキップ。
で、幼少期が早送りで過ぎ去り、超カンタンな貴族男子ズの説明が挟まり、今は貴族同士の社交パーティーの真っ最中って感じだ。
「婚約破棄?」
「そうだ! 君はとても勇猛で博識、それでいて可憐な女性だと思っていた! だが見事に騙してくれたな!!」
些細なミスを全社員の前で罵倒されているときのような・・・・・・おっと、前世の記憶。
「僕の心を射止めるつもりだったのだろうが、ウザイン嬢をだしに使うとは最低最悪の悪女だ!!」
なんだろう。記憶にないし早送りの回想にもなかった。
ただ分かっていることは、目の前の金髪イケメンが青い双眸に憎しみの火を燃やしながら激昂してるって事くらいだ。
そのイケメンの背に隠れるようにドドメ色の髪の女がほくそ笑んでいる。
あ、思い出した。
なんか知らないけど、事あるごとに自分のミスをあたしに押し付け、金髪イケメンにゴマをすりまくる女ウザイン・デッテケーだ。
早送り回想の中だけでも15回は登場したモブっぽい女。モブじゃないのかお前。
「スカトーラ、二度と僕とウザイン嬢に近づくな!! 少しでもその悪女顔を見せてみろ!! オニール家に対する宣戦布告とみなすぞ!!」
うん。なんとなく分かった気がする。
社交パーティのタイミングで何かをあたしになすりつけたのだ。
コロリと騙された情弱なイケメン君が逆ギレしていると。
で、宣戦布告という言葉から察するにあたしの使命は、戦乱に満ち溢れる異世界で他貴族共を根絶やしにしなさいってことだ。
悪役ってことはきっとそういうことだ。
「分かりました。では戦争をしましょう」
ずいっと前に出るとエリオット君のカフスを掴み宣言した。
箱入り令嬢の85日間の箱庭戦争〜悪役令嬢? ハハッ、おもしろい冗談ね。56してやる〜 タルタルソース柱島 @hashira_jima
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます