二つの願いを叶える

 ……


 俺は例の箱を使って、一つの願いは叶えた!

 その時……少女の言う通り。箱は青白く光った!!


 その翌日。

 俺はハローワークに行って、とある求人に申し込んだ。


 全くの未経験では無いけど面接時。転職回数を指摘されると絶望的で有ったが……それでも、挑戦してみたい職種で有ったので応募した。

 すると……本当に願いは叶って、俺は現段階で望む職種に就く事が出来た!


 辛い仕事に成るのは目に見えているが、採用された以上。この職種で骨を埋める覚悟で有った……


 ……


 それから、約半年の時が過ぎる……


 仕事の方は大変であるが順調で有り、生活の方も定期収入が有るので人並みの生活に戻った。

 俺はまだ、願いが叶えられる事を思い出して、押し入れから例の箱を取り出す。


「願いが叶うのは分かったから、理想の恋人姿を思い浮かべて……強く念じれば、俺はその女性と出会えるのだろう!」


 少し顔をにやつかせながら、俺は一人しゃべりをする。

 職にも就けて生活に余裕が出て来れば、自然と異性を求め始める……


「でも、姿形は理想でも……性格が最悪で有ったら地獄だよな!///」

「手っ取り早いのは美少女キャラクターを思い浮かべる事だけど、現実にアニメキャラクターと出会えたら怖いし///」


「そうで無くても、コスプレで来られたら有る意味恐怖だな!///」

「アニメキャラクターのコスプレは、俺の中では全然萌えないし(汗)」


 俺は困った微笑み表情で一人しゃべりをする。

 願いを叶える箱と言っても、所詮A4サイズの段ボール箱風なので、物を願ってもA4サイズが限界である。


(……そう言えば。あの子猫は元気なのかな?)

(あれ以来……少女の姿はおろか、子猫も全く見掛けない??)


 俺が一応助けた子猫は、近所の小学校通学路で助けた。

 そして、それを見ていた飼い主(?)が、どうやって俺の家を探し当てたかは分からないが、玄関前で待ち伏せをされて、願いを叶える箱を少女から貰った。


(このサイズで出せる欲しい物は特に無いし、あの子猫が元気なのかも確認したいから、あの子猫と出会えるのを願ってみるか!)

(子猫ならギリギリ、この箱から出て来るだろう!?)


(だが、子猫はで無いから無理か!///)


 俺は心の中で思う。

 子猫で無く、飼い主の方でも良いが、余りにも接する時間が短かった為、少女の姿をとは覚えていない。


(確かあの子猫は……イノシシキジ白柄の猫だったよな…)

(あの子猫にもう一度会いたいな……)


 俺は箱を見ながら、あの時の子猫を思い浮かべながら……強く念じると……


『ガタ、ガタ、―――』


『ガタ、ガタ、―――』


「!」


『すうぅーー』


 箱が急に揺れ初めて、その揺れが収まると……箱が空中に浮かび上がる!?

 前回の時は全く違うパターンで有った!?


「願いの種類に依って、箱の動作も異なるのか!?」


 俺が驚きながら呟く。すると……


『ぱぁーーー』


 箱が宙に浮かんだ状態で、箱全体が青白く光る!!

 今までとは違う箱の動きで有るが、願いは叶った感じで有る?


『……すとん』


 箱が消滅すると同時に、何かが床に落ちると言うか着地する!

 二回願いを叶えてしまったので、箱は消滅したのだろう。


 そして、あの子猫が本当に現われたのか?


「…………??」


「おぉ!」


 現われたのは、あの時助けた子猫で有った!

 俺は思わず、喜びの表情をする。


 でも、子猫は理解出来ない表情をしている?


 この子猫が何処にいたかは知らないが、いきなり俺の部屋にワープされたら子猫もするで有ろう。

 だが、しばらくすると……子猫は状況を理解したようで、俺を見ながら困った笑顔で話し始める!??


「……久しぶりだにゃん!」


「えっ!?」

「猫が喋った!???」


 子猫が普通に人間語を話すので、俺は仰天する。

 だが子猫は穏やかな表情(?)で、俺に話し始める。


「……まさか。私を呼ぶために願いを使うとは思いも依らなかったにゃん!」

「元気そうだね……」


(このしゃべり方。あの時の少女声と全く同じだ!)

(やはり……人間に化けていたか……)


 子猫の話し方で、あの時の少女がで有った事を確信させる。

 俺は怪訝な表情で子猫に話し始める。


「あぁ、俺は見ての通り元気だよ!」

「君も元気そうだね……」


「所でお前さんは……現在どんな状況なんだ?」

「飼い猫なのか、それとも野良(猫)なのか?」


「?」

「そんな事を聞いてどうするのだにゃん?」


 だが子猫は『なんでそんな事を聞くの』表情で話す。

 俺は真面目な表情で、子猫に話し始める。


「もし、君が野良猫で有ったなら……君をこの家に招き入れたいなと…!」

「この家。ペットは飼える家なんだ///」


「それはなんだにゃん?」

「私を飼いたいの意味で、捉えれば良いのかにゃん?」


「……うん。そう! でも、野良だった場合だけどね!」

「君のお陰で一応。望む職種に就けたし、そのお礼も兼ねて……」


 子猫が不思議そうな表情で言った後。俺は真面目な表情で子猫に話す。

 でも、子猫は困った笑顔で俺に話し始める。


「そうかにゃー」

「まぁ、私は野良だけど……見ての通り。普通の野良では無いからね///」


「飼われても良いけど……色々な意味で、あなたが苦労すると思うにゃん!」 

「私は普通の猫では無いからね…」


 ここで子猫は嬉しそうな表情に変わって、俺に言葉を続ける。


「ちなみにも、人間のと一緒のじゃ無いと食べないよ!」

「後。本当に飼うなら、ふかふかの猫用ベッドもほしいにゃん♪」


「私は何もかも、普通の猫とは違うからね!♪」


(猫の癖に遠慮無く言うな///)

(普通の猫で無いのは、今更どうでも良い)


(でも、これで猫とを何故か、しては行けない気がする?)

(良く分からないけど……)


 俺は穏やかな表情で子猫に話し始める。


「これも何かの縁だと思うんだ!」

「だから、君が嫌で無ければ……」


「……分かったにゃん!」

「なら、今日からはお前さんの家でお世話になるにゃん!♪」


 子猫は『仕方ないな』の表情で俺に話す。

 猫で有るが、俺に新しい家族が出来た!


 ☆


 それから、しばらくの時が過ぎる……


「おーい!」

「起きろ~~」


『ぺち、ぺち、―――』


 成猫と成った猫が、前足で俺の顔を叩きながら陽気な口調で声を掛ける。

 俺は寝ぼけ眼で、さくらねこに話す。


「うーん」

「もう朝か~~」


「ほら!」

「しゃんとする!!」


 さくらは、少し怒った口調で俺に話す。

 俺は寝ぼけ眼で起き上がり……洗面台に向う。


 ちなみに、猫の名前をにしたのは、春の時期に(子)猫と出会った由来からで有る。


 ……


 顔を洗った後は手早く。俺との朝食を作って、さくらと一緒に食べる。

 今朝のメニューは和食で有り、ご飯、目玉焼き、豆腐の味噌汁、たくわんで有る。


 普段は猫で有るが、食事の時だけは人間に化ける。

 によれば、その方が食事をとの事だ。


「私も……そろそろ、料理でも覚えようかな?♪」


 人に化けたが目玉焼きを食べながら、和やかな表情で一人しゃべりをする。

 俺は不思議そうな表情で、さくらに話し始める。


「そんな事も出来るの?」

「元は猫なのに……」


「まぁ、出来るんじゃ無い?」

「箸も使えるしさ!」


 さくらは箸を器用に動かしながら、笑顔で俺に話す。

 化けた時のは、猫目を気にしなければ人間と変わらない。


 ちなみに、俺の家族の一員と成ってから、さくらは語尾に『にゃん』を付けなくなった。

 当然。俺は理由を聞くと『私を猫だと、連想させる為だよ♪』と、言った。


 化け猫に成れる猫と歩む生活を、俺みずから選んでしまったが後悔は全くしていない。

 普通の猫では無いから留守番も平気で任せられるし、人間語を話せるからコミュニケーションも遙かに楽だ!


 何時までこの生活が続くかは分からないけど、俺は二つの願いを叶えて貰って幸せで有る……


 ……


 ☆おわり☆

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願いを叶える箱 小春かぜね @koharu_kazene

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