+α幕間~シナリオ風に~
高杉晋作の寝床の周りに、医者・うの・俊輔が距離を置いて座っている。晋作は薬を投与され落ち着き、目を閉じている。
医者は器具や薬瓶を片付け、おうのと俊輔は沈痛な面持ち。やがておうのがきつい表情で顔を上げる。
うの「最近は落ち着いてはったのにこないなことになって……伊藤はん、あんたさんが何か、興奮させるようなこと言いはったんとちがいますか!」
俊輔「わ、私は何も……」
晋作が目を閉じたまま「やめんか」とつぶやく。
晋作「俊輔は何もしちょらん……いつもの発作じゃ」
うの「そやけど……」
晋作「もう行け。藩の御用なんじゃろ」
俊輔「はい……」
俊輔が立ち上がり、背を向けた時に新作がまた、目を閉じたまま「俊輔」とつぶやく。俊輔、振り返る。
晋作「功山寺の時……来てくれて、嬉しかった。ずっと礼を言いたかったが言えずで、すまんかったの」
俊輔は目を見張り、唇を震わせる。晋作、目を開き俊輔を見据える。
晋作「はよ行け……お前が帰ってくるまでは死なんけえの」
うの「旦那さん!」
晋作はもう何も言わず、苦し気に目を閉じる。俊輔はうなだれ何度も目元をこすり、やがて決然とした表情で顔を上げる。
俊輔「行って参ります」
深々と頭を下げ、部屋を出て障子を閉める。
鬼はいずこに 小泉藍 @aikoizumi2022615
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