第3話家族
「ルーク様起きてください。ご夕食のお時間です。」
「う、うぅもうそんな時間?でも今日はずいぶんと早いねまだ日が沈み切っていないじゃん。」
「もう、今日はセリーナ奥様と長男エリック様、次男ニコラス様の帰宅される日ですよ。もう何日も前からお伝えしたじゃないですか。」
「そうだった急いで着替えなきゃ、エレナ礼服の用意をお願い。」
「かしこまりました。」
そう今日は初めて正妻のセリーナ母様と兄のエリック兄さま、ニコラス兄さまに会う日なのだ。
貴族の兄弟だとなんとなく権力争いのイメージが強く仲がいい感じはしないので気が引けるがどうしても顔を合わせなきゃいけないので我慢しよう。
「そんなに兄弟の仲がわるくないといいなぁ。権力争いに巻き込まれて毒殺とか暗殺の標的にならないといいけど。」
「早くしてください何をぶつぶつ言っているか知りませんが早くしないと遅れてしまいますよ。」
「わかったよ」
気が乗らない中、重い足取りで玄関へ向かった。
玄関に行くとそこには父上と母上とソフィア姉さまがいた。
「父上、母上、ソフィア姉さま。遅れてすみません。」
すると父上が
「おぉルークか全然遅れてなどおらぬから安心せい。」
「そうよ、ルークはまだ3歳でしょう?お昼寝もしたりないでしょうに」
母上はそういうが俺としてはお昼寝なんかせずにいろんなことをしたいんだけどな。
「礼服を着たルークってばかっこいいわ。弟じゃなければ私がお嫁さんに行きたいくらい。」
そういいながら毎度のようにソフィア姉さまが飛びついてきた。
「もう、ソフィアったらそんな飛びつかないのはしたないでしょう?それに礼服にしわが寄ったらどうするの?はぁこんなにお転婆だと王都の学園に送るが心配だわ。」
「そんなお母さま私だってルーク以外にはこんなことしないわよ。」
「ソフィア。ルークが好きなのはわかるが貴族令嬢としての気品をしっかりと身に着けてもらわないと困るぞ。」
「もう、お父様までそんなことをいわないで」
そんな風に家族で団らんをしていると玄関の扉が開き兵士が二名はいってきた。
「伯爵様まもなく奥様とご子息様が到着されます。」
いよいよ兄たちとのご対面かと思うととても緊張する。
肩に力が入りすぎていたせいか、父上に
「ルーク緊張しすぎだぞ、兄弟に会うのだからそこまでこわばらなくてよい。リラックスするだ」
そう言われても初めて会うし何かして目をつけられたらたまったもんじゃない。
そして数分後玄関の扉が開き中に10名ほどのメイドと執事が入ってきて両側に並び後ろから3名が歩いてきた。
「ただいま戻りました。あなた」
そう口にしたのは3人のうち一番前に歩いていた美しい女性だ。
「よく戻ったセリーナ。それに大きくなったなエリックにニコラスよ。」
「はい父上」
返事をしたのは長兄のエリック兄さまだろう。
「父上、それにイザベル義母上ただいま戻りました。」
こう答えたのが次男のニコラス兄さまのほうだ。
「うむ旅の疲れをゆっくり癒すとよい。それとお前たち3人に紹介したいものがおる。ルーク。」
「はい父上。セリーナ義母上、エリック兄さまにニコラス兄さま。ヴァンデンベルク伯爵家が3男、ルーカス・ヴァンデンベルクです。これからよろしくお願いいたします。」
と返事をすると3人は驚いた表情をして固まっていた。
「えっと父上何かおかしな点でもあったでしょうか?」
「はっはっはっは。何ルークおぬしが3歳なのにもかかわらずそんな挨拶をするからびっくりして固まっておるのじゃ。さすが神童と呼ばれるだけあるのう。」
すると驚きから回復したセリーナ母上が
「ふふふ、あなたの言う通りよ。神童という噂は聞いていたけれどまさかここまでとは思わなかったわ。ごめんなさいねルーク。レオンの妻のセリーナよ、これからこれからよろしく頼むわね。」
続いて兄さまたちも俺に向かって話しかけてきた。
「ルーク俺はエリックだよろしくな。こんな三歳がいるなんて驚いたぜまったく」
「僕はニコラスだよ、よろしくね。それにしても三歳でこんなに礼儀正しく話せるなんてルークはすごいな。」
そういいながらニコラス兄さまは頭をなでてきた。
「そうでしょ!ルークは世界で一番かっこよくてかわいくて頭のいい私の一番の弟なんだから!」
「ソフィアなんで君がそんなに威張っているんだい?」
すると父上が
「ソフィアはルークが大好きなんだ。まったくこの年になっても弟離れができないとは、数年後からの学園生活がおもいやられるな。さて立ち話も何だし中に入って食事でも食べながら話そうじゃないか」
父上がそういうと食堂に向かい皆がそれについていった。
俺はというと母上と兄さまたちは俺が想像してたのよりもとてもずっと優しく心配してた権力争いもなさそうでほっとしていた。
食事がある程度進み話が兄さまたちと父上の会話がひと段落すると俺の話になった。
「そうはいってもルークは本当に賢いな。おれが3歳のころなんかもっとやんちゃしてたぜ。」
「そうですねすでにエリック兄さまよりご飯の食べ方もきれいですから」
「てめぇニック好き勝手いいやがってお前だって三歳のころはしょっちゅう泣いてたじゃないか。」
「それにしてもイザベル本当にいい子でよかったわね。」
「はいセリーナ様自分にはできすぎた子だと思っています。」
「もうイザベラ私のことはセリーナでいいと言っているでしょ。」
「そういわれましても。」
「セリーナそんなこと言ってもイザベラが困ってしまうだろう?それにしてもルークお前本当に3歳なのか?さっきの挨拶といいエリックが言うように食べ方も3歳らしくはないぞ。」
ぎくっ
「そんなことないですよ父上。ほかの人より少し上達がはやいだけで僕は全然神童なんてもてはやされることはありません。」
そんな風にいろんなことを話しながら夜が更けていった。
「さてそろそろ夜も遅いことだし今日はお開きにしようか」
そうして初めての家族全員でのだんらんは俺の想像よりずっとよく終わりをむかえた。
部屋に戻ってきたルークは服を着替えベットの上で横になった。
「ふう、疲れたな。今日初めての兄さんたちと会ったけど仲がよさそうでよかったな。少なくとも家督争いでごたごたすることはなさそうだ。それにしてもさっき父上にも言われたが俺ってやっぱ3歳児らしくないよな。神様が言っていたように転生したなんてほかの人に言ったら大事になるだろうし、もっと3歳児荒らし九行動した方がいいのか?いやでも神様から託されたことを達成するためにはもたもたしていられない。なるべく早く力をつけないと。そのためにはまずはこの国のことに詳しくならないとな。」
そう決心しながらルークは深い眠りについた。
レオンSid
「さてエリック、ニコラス。今夜お前たちをここに呼んだ理由はわかっているよな。」
「さすがにわかるぜ父上。ルークのことだろう?」
「兄上もうちょっと言葉使いに気をけて下さい。」
「ったくニックここは公式の場じゃないんだから別にいいだろ。」
「そういうところですよ兄上。」
「さて今夜呼んだのはさっきエリックの言った通りルークについてだ。あの年であそこまでの礼儀作法を持ったものなどいないだろう。それにお前たち二人は知らないだろうがあいつはもうほとんど読み書きができている。それを踏まえて二人はどう思う?」
「父上どう?とはどういうことだ?」
「兄上父上はルークが何かしらの特殊なスキルを持っているのではと疑っているのですよ。普通のスキルなら問題ないですが特殊なものを持っていると変に王国から目を付けられかねません。」
「その通りだニック。あそこまでできすぎるのも少し困るのだ。それにあと二年後には洗礼がある。そこの場でもし珍しいスキルが出れば間違いなく教会から王国に通達が行くだろう。そうすればなぜわしらがルークのことについて報告しなかったのかとあとで国王からおしかりが来るだろう。珍しいスキルを持つものはほかの子と違って何か抜きんでた才能があり、それを報告するのも貴族の務めだからな。」
「そうだな父上、でもほかの特殊スキルの時よりかは別にそこまでおかしくないと思うぜ。それにあの程度なら上達が早いと思ってましたで済むだろう。」
「そうですね私も兄上とおんなじ意見です。下手に報告してがっかりされるよりはましではないでしょうか。」
「お前たちの考えはわかった。とりあえずルークは上達が早いだけということにしとこう。お前たちも部屋に戻って休むといい」
二人の息子が扉の外に出るとふぅとため息をついた。
「ご当主様お疲れ様でございます。」
「本当に疲れたぞセバス。全くどうしたらいいんだ。子供の出来が悪くて悩むことがあってもできすぎて悩むことが来るとは思わなかったぞ。」
「ですがご当主様。悪くて悩むよりはよかったのではないでしょうか。それにこれでヴァンデンベルク家の未来も明るいというものですよ。」
「そんなのはわかってる。だがこれからの苦悩を思うと少しな。セバスよ、おぬしにはこれからルークを陰ながら観察してほしい。もし何かあれば王国に報告しなくてはならない。それとルークには最上級の環境を与えてくれ。あれだけ素晴らしい才能があるのだからそれを伸ばさなくては意味がない。」
「かしこまりました。」
そう言い残すとセバスも扉から部屋の外に出た。
レオンはセバスが出て行った後も頭を抱えながら考え込んでいた。
でもそんなことはルークは知る由もない。
手違いで死んだ俺が異世界で新しい人生を謳歌する @takkymasa
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