第2話転生
真っ暗な闇の中から一筋の光が差してきた。
その光はどんどん大きくなって目の前一面を覆うようになった。
体の感覚がもどってきた。
手を動かせる、足もだ。
お、目も開けられそうだぞ、いったいどんな家庭に生まれるのか楽しみだ。
目を開けるとそこはとても豪華な部屋だったキングサイズのベッドの上には多分俺の母親であろう人が汗をかいて苦しそうにしている。
でも表情はとてもうれしそうだ。
部屋の広さは俺が住んでいた部屋の5倍くらいの広さがある。
部屋に置かれている家具はもちろん現代にあるようなものではなく電気も流れていないようだ。
ラノベ小説にあるような中世ヨーロッパのデザインのものがたくさんある。
周りには5人くらいのメイド服を着た女性がいてどうやら俺はその一人に抱きかかえられてるらしい。
すると抱っこをしている人が。
「奥様元気な男の子です。」
そういいながら俺を母に渡した。
母はとても美人で金髪だ。
母じゃなければ今にも結婚したいくらいの美人だ。
「あら、かわいらしいわね。この子の名前はルーカスにしましょう。」
するとメイドの一人が外から一人の男性を連れてきた。
こちらもとてもイケメンだ。
多分この人が父だろう。
「イザベル、この子が。」
「えぇ、あなたこの子が私たちの子供ルーカスよ。」
「ルーカスいい名前だな、これからよろしく頼むぞルーカスよ。」
と父が話しかけてきた。
それがこの世界に来て最初の日の出来事だった。
それから3年の月日がたってこの世界のことがだんだんわかってきた。
まず俺が生まれた国の名前はエルヴァンデール王国というらしい。
どうやら俺はその国のヴァンデンベルク伯爵家の3男として生まれた。
ルーカス・ヴァンデンベルクかっこいい名前だ。
伯爵は上位貴族に分類されている。
ちなみに貴族の階級は、上から王族、大公*、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵という風に分かれており、騎士爵は子孫に受け継ぐことができない一台のみの貴族で功績が認められれば平民から成りあがることができる。
騎士爵でもさらに功績を積めば永代貴族の男爵以上の爵位を受け取ることが可能だが永代貴族になりあがることはとても大変らしくここ数年はいないらしい。
家名は都市の名前とおんなじらしく、この町はヴァンデンベルクという町らしい。
3男といったが俺はどうやら側室の子供で兄弟は、長男のエリック次男のニコラスと姉のソフィアがいるらしいが2人の兄にはあったことがない。
ちなみに父の名前はレオン・ヴァンデンベルクというらしい。
長男と次男は正妻の子でソフィアは俺と同じイザベルの子供だという。
「それにしても3男かぁ、家督を継ぐことは難しそうだな。でもその代わりわりと自由に動けそうでよかった。」
今俺は3歳だが読み書きの練習をしている。
普通3歳では字の勉強などしないのだが、早くこの世界の本を読みいろいろなことを知りたいのだ。
もちろん周りからは神童ともてはやされている。
まぁ3歳で字を勉強するやつなほかにいないだろうからな。
だが勉強の方法が少し恥ずかしいのがちょっと嫌なところではある。
なぜ恥ずかしいのかというと。
「ルーク様ではお読みいたしますね。」
そう、メイドに絵本を読んでもらうしかないからだ。
ちなみにメイドの名前はエレナと言い、年齢は13歳と前世の俺よりも年が下なのでとても恥ずかしいのだ。
だって年下から絵本のよみきかせって、い、いやでも今の俺は3歳だ我慢しよう。
ちなみにルークっていうのは俺のことで、ルーカスの略称らしい
絵本の字を真剣に見ながら覚えていると部屋外から
「ルーク~」
という甲高い声が響いてきた。
バンという音とともに扉が開くとそこには姉のソフィアがいた。
「ソフィア様ドアはお静かに開けてください。」
とエレナが注意するがソフィアは聞きもせずこっちに飛びついてきた。
「ルークってばなんでこんなに可愛いのかしら。」
「っソフィア姉さまやめてくださいちょっと苦しいです」
「うそ、ごめんなさい。ルークが可愛すぎてつい」
「ソフィア様そんな勢いでルーク様に飛びつかれるとルーク様がけがされてしまいますよ。」
「そんなこと言われてもルークが可愛すぎるのがいけないのよ!」
男の子なのに可愛いと言われるのは少し不服だが不細工だと言われるのよりはマシだろう。
「いい加減離れてくださいソフィア姉さま。」
「そんなこと言わないでよ。別にいいじゃない減る物じゃないでしょ。」
「そんなにしつこいとお姉さまのこと嫌いになりますよ」
「う、わかったわよ。今日はこの辺にしておくわ。」
ちょっと不満げな顔をしながらも姉は離れ、向かい側の席に落ち着いた。
「ソフィア様そういえば今日の勉強は終わったんですか?来年の1月から学園ですよね、もう試験まで時間がないですよ。」
「エレナまでそんなこと言って、もう大丈夫だって。お父様もお母さまも勉強、勉強うるさいのよ。」
そう俺が転生したこのエルヴァンデール王国では貴族の子供は10歳から王都の学園に入らなければならない。
平民はと言うと、ある程度お金を持っていて学費が払える家庭の子供であれば受験を受け受かれば入学することができる。
じゃあ貴族の子供がなぜ受験勉強するかと言うと、クラス分けがあるからだ。
学園のクラスは上からSクラス、Aクラス
Bクラス、Cクラス、Dクラス、Eクラスに分かれており待遇の差がとてつもなく、みんなSクラスに入るために勉強するのだ。
もちろん親も死ぬ気で子供をSクラスに入れようと躍起になっている。
なぜかというと貴族の社交の場では子供の学力もある程度のステータスになるからだ。
どんなに上位の貴族だろうと子供がEクラスに入ろうものなら馬鹿にされてしまうからな。
ちなみにSクラスの定員は上位50名となっており毎年受ける人数は5000人を超えるので上位数%に入らなければならない。
ソフィア姉さまは先月で10歳になったので来月の入学試験に向けて勉強している。
試験内容は筆記試験と、剣術、魔法があり後者2つはどちらかだけでも良い。
各試験の一位と、合計点数の高い47名が毎年Sクラスに入っておりどれか一つでも抜きん出ていればSクラスに入ることは可能なのだ。
だから平民にもチャンスはある。
だが小さい頃から英才教育を受けている貴族との差は大きく、Sクラスに入れる平民は毎年多くても5人とかなのだそうだ。
さて受験勉強というが前世で高校三年生だった俺にとっては簡単すぎるレベルだ。
筆記試験の内容は読み書きと算数とこの国の地理と歴史だが、読み書きは今から勉強しているし算数なんて問題にすらならない。
しいて言えばこの国の地理と歴史だが、字が読めるようになれば余裕だろう。
剣術と魔法についてだがそれは確実に問題がない。
なぜかってそれは神様からのチートともいえるくらいのものをもらったからだ。
~少し時はさかのぼる~
「転生に際しておぬしにはある程度の力をやろう。」
「どうしてですか?」
「う~むそれはのう、おぬしにはやってほしいことがあるからじゃ。」
「そのやってほしいこととはいったい?」
「今おぬしが行こうとしているアトラスという世界では戦争が繰り広げられておる」
「戦争ですか?」
「そうじゃ、だがおぬしが想像しておる戦争とは程遠いだろうがのう。」
「一体どんな状況なんですか?」
「今アトラスは神同士の戦いが繰り広げられておる。実際神が戦っておるのではなく神がちからを与えたもの同士が戦っておると言ったほうがいいかものう。」
「それで俺はどのようなことをすればいいんですか?」
「簡単に言えば敵勢力を倒してほしいんじゃ。」
「敵ですか」
「そうじゃ。今わしら神は邪神と呼ばれる神と戦っておる。」
「わしらというと神様以外にもほかの神が?」
「そうじゃ。ちなみにわしは主神と言われておってのう神の中では一番えらいんじゃ。」
「でも主神様のほうには神様がたくさんいるのに何で邪神一人に勝てないんですか?」
「それは邪神が神のルールを犯しておるからじゃ。」
「神のルールですか?」
「そうじゃ。神は自身の眷属、人や魔物、動物や植物に力を分け与えることができる。その与えられる力に制限を設けたんじゃ。なぜ制限を付けたかというと、力を与えすぎるともし眷属が力を持ちすぎて反逆してきたときにすぐに対処できるようにじゃ。もし反逆しても負けることはないのじゃなが、それを抑えるためにどれだけの時間がかかりその間にどれだけの生き物がなくなるかを考えると制限を設けたほうが良いという判断になったからじゃ。だが100年前邪神がそのルールを破り始めた。そして自分の眷属たちに強大な力を与え侵略をさせ始めたんじゃ。」
「じゃあ神様がその邪神を倒せばいいんじゃないですか?」
「それで済んだらよいのじゃが倒すと次の邪神が選ばれるのじゃ。その次の邪神とは前の神の眷属の中で一番強いものが選ばれるんじゃ。もし倒したとしてもその次の邪神がまたおんなじことを繰り返すじゃろう。それに神の強さは信者の数で決まる。
もしおぬしがそこら辺の人間ならより力を与えてくれる神につきじゃろう?だからどんどん奴の力も強くなってきておるんじゃ。」
「そんな、じゃあほとんど勝ち目はないのでは?」
「最後まで聞いておくれ。幸いなことに神には力を与えられるものには規制がかかっておる。植物神には植物に、獣神には動物といったように決められておるんじゃ。そして邪神には魔物や魔族といったように魔がつく生物に力を与えられるんじゃ。ちなみに主神はどんなものにも力を与えることができる。ほとんどは人間じゃがの」
「大体わかりました。それで俺はその邪神の眷属を倒し邪神の勢力を倒してほしいんですね。」
「そうじゃ。それもなるべく早く頼む。」
「それはどうしてですか?」
「さっきも言った通り主神はどんなものにも力を与えられるといったじゃろう。それはわしにしかできないことではないんじゃ。主神とは神の中で一番強いもののことを指す。だからこれ以上邪神が強くなれば人間にまでも奴の勢力ができてしまう。そうなれば終わりじゃ。」
「わかりました。」
「おぬしはアトラスと呼ばれる世界よりも上位の世界の住人じゃ。だからほかの人よりも多くの力を与えることができる。大体ほかの人の10倍程度の力じゃのう。」
「じゅ、10倍ですか?」
「そうじゃ。だからくれぐれも気を付けて使うんじゃ。もし暴走でもしたら大変じゃからのう。それとアトラスには召喚術とゆうものがある。」
「それってもしかすると俺みたいにほかの世界からくる人がいるってことですか?」
「そうじゃ。このような事態の策としてアトラスにあるいくつかの国に教えたんじゃ。召喚された人はおぬしと同じく普通の人間よりも強い力を持っておる。また転生とは違って姿かたちは変わらず召喚される。」
「じゃあその人たちに頼ばいいんじゃ?」
「普通の人より強いといっても召喚ではせいぜい2倍から3倍程度の力しかもっておらんのじゃ。召喚されてくる全員がその程度の力を持つのではなく強さも運なのじゃ。それに召喚されてくる人間が全員善人とは限らん。中には犯罪者なども召喚されるんじゃ。それにコストもものすごくかかるんじゃ。だから気兼ねに使えるものではなくての。」
だから俺に力を与えてくれるのか。
「もし俺が犯罪者だったらどうするんです?」
「ほっほっほっほ。それないおぬしの魂を見ればわかるわい。さてほかに質問はないかのう?それじゃあお前に与える力じゃが、魔法の全属性に対する適性を与えよう。もちろん潜在能力も一番上じゃ。また魔法以外にも武術の適正、魔力も与えられる限界まで上げてやろう。」
「そ、そんなにいいんですか?」
といった調子でポンポンと力を与えられ転生されたのだ。
はぁ魔法や武術に対する心配はしなくていいのはありがたいけど神様に与えられた試練を想像すると気が滅入る。
「ってルーク話を聞いているのですか?」
おっといけない考え事をしていたらソフィア姉さまの話を全然きいていなかった。
「ごめんなさいソフィア姉さま少し眠くてぼーっとしていました。」
「あらそうルークはもうお昼寝の時間かしら。」
「そうですね。ルーク様今日はこの辺までにいたしましょうか。」
本当ならもっといろいろなことをしたいのだが、今の俺の体は3歳児なのだから1日中起きて生活するのには体力が持たないのだ。
「ではルーク様失礼いたします。」
「ルークまた夕飯の時に会いましょう。」
と言いながら二人が部屋の外に出て行った。
そして俺もいったん寝ようと布団に入り目をつむった。
「いま振り返って考えると本当に考えられないよなぁ、まさか俺が転生するなんて。ほんとはまだいろんなやり残したことがあったけど大好きなゲームの中みたいな世界に転生できるなんてラッキーだな。」
そんなことを言いながらだんだんと眠りについていった。
*大公とは国王の兄弟などの家庭をさす。国王が変わると大公ではなくなり公爵となる。
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