手違いで死んだ俺が異世界で新しい人生を謳歌する

@takkymasa

第1話プロローグ

 俺の名前は佐藤 薫。

来月から高校3年生になる。

受験勉強真っただ中だ。


 朝起きてスマホを開き大好きなスマホゲームのデイリークエストをやるのが日課だ。


受験生なのに遊んでいていいのかって?


 「俺にゲームより大事なものはない!」


 それに俺は親に勉強をやりなさいと言われるのが嫌で高校1年から一人り暮らしをしている。


だから誰にも邪魔されないのだ!


 日課のゲームを終え朝食に昨日の帰りに買ったコンビニのおにぎりを頬張りながら家を出る。


俺の通っている高校は偏差値は50前半の普通の学校だ。


まじめに勉強したらもっと上の高校に行けたのにと、今でも親からぐちぐち言われるが、俺にとってはちょうどいいくらいの学校なのだ。


だから後悔などはしていない。


 俺はその高校で中の上くらいの成績を維持している。もちろんまじめに勉強すれば学年トップは余裕で取れるだろう。


 そんなことを考えながらぼーっと歩いていると後ろから


 「おはよ~」


という声が聞こえてきた。

そんな言葉を俺に言うのは一人しかいない。

そう幼馴染の杉浦 碧乃だ。


「薫ったらまた髪もとかさずに出てきて、ちょっとは身だしなみを気にしたら?」


「ったくどうでもいいだろ身だしなみなんて別に誰にも迷惑かけるわけじゃないんだから」


「そんなこと言わないの!だから高校2年の3学期になっても友達が一人もできないんじゃない。毎日学校でも暇があればずっとゲームして、少しは誰かと話そうとは思わないの?」


「別に友達がいなくて困ることなんてないし、ゲームは俺の人生だ!」


俺はカバンの中からヘッドフォンを出し、首から下げいつでもゲームをできるように準備をした。


もちろん学校の休み時間も毎回すぐスマホを取り出しゲームに没頭している。

だから碧乃が言うように友達は一人もいない。


たまにゲームについて話すやつもいるが、友達と言うほどお互いのことを知っているわけでもないしわざわざ俺から話しかけることもない。


幼馴染だからか碧乃は毎日のようにおせっかいを焼いてくる。

少しはありがたいと思うが毎日のように言われると少しいやになってくる。


そんなこんなで話しながら歩いていると学校についた。


碧乃とはクラスが違うのでここでお別れだ。


「今日は体育の授業がある日かぁ」


毎週月曜日と木曜日は体育があり今日は木曜日だ。

体育は嫌いだが今週もあと2日で終わるのだと自分に言い聞かせ、教室に向かった。


なんせ土日は一日中ゲームし放題だからな。


そして一日の授業が終わり校門から学校をでた。


帰りは気が楽だ。

なぜなら帰り道は朝のように話しかけてくる奴はいない。

なんせ碧乃はバレー部だからな。


 碧乃は成績優秀、スポーツ万能で教師や生徒からいつも注目を浴びている俺とは真反対のやつだ。


それに今日は待ちに待ったゲームのガチャの更新日。

俺の好きなキャラがとうとう実装されるのだ。


そして家に帰りベッドの上で正座をしてスマホと向き合う。


「お願いします。お願いします。お願いします。」


スマホに向かって手を合わせこすりながらながら唱える


そしてガチャを回す。


10連目


「ダメかぁ」


20連目


「まあ出ないよなぁ」


30連目


「こいこいこい」


40連目


「そろそろ頼む」


・・・・・


100連目


「本当にたのむこれで最後なんだ!」


目をつむりながら大声でいう。


そして目を開けると


「うおっしゃああああああああああぁぁぁぁぁぁ」


そこには自分の大好きなキャラが表示されていた。


「いやったぜ、これで今日はずっとやるぞ」


と意気込みながらベッドの上でゲームをつづけた。


「あれもうこんな時間か」


外から雷の音が聞こえ

ふと顔を上げ時計を見るともう夜9時を回っていた。


「まずい明日の宿題をやってご飯と風呂も入らなきゃ」


 そしてベッドから起き上がりやることを終わらせてからまたベッドに戻りゲームをしようとしたが携帯の電源が切れてしまった。

携帯の電源が切れてしまい充電を待っていると。


「うわっ、停電かよついてないなぁ」


外の雷雨が原因なのか部屋の電気が消え真っ暗になった。


「ったくこれじゃゲームできないじゃん。はぁ今日はもう寝るか」


と悪態をつきながらベッドに入り眠りについた。


薫が爆睡をしていたころ外の雨は次第に強くなっていっていた。



突然体に激痛が走った。


痛い、痛い、痛い、痛い


(なんだこの痛みは、こんなの経験したことがない!)



痛い、痛い、痛い、痛い


(くそ、俺は死ぬのか?)



だんだん感覚がなくなってきた。

今まで激痛だったのが気のせいだったかのように痛みが薄れていく。


あぁ俺は本当にしぬんだな、死ぬ前にもっといろんなゲームをしたかったな。

まだ遊べてないゲームがたくさんあるっていうのに……


すると突然目の前から強い光が差してきた。


まぶしすぎて目を開けられそうにない。


だんだんと光に目が慣れてて来てうっすらと周りが見えてきた。


そこは真っ白い世界で何もなかった。


「なんだここは、いったいどこなんだ。まさか夢の中なのか?でもそれならさっきなんであんな激痛がしたんだ?」


すると後ろから声が聞こえ来た。


「ここは夢の世界ではない」


びっくりして声のした方向に振り向くとそこには真っ白いひげを蓄えた老人が座っていた。

どこからともなく現れた老人に困惑しながらも話しかけた。


「ならここはどこなんですか?なんでおれはここに?さっきの激痛は一体何だったんですか?それにあなたは一体。」


「そう焦るでない、そなたの質問には一つずつ答えよう。わしは神じゃ。ここは何処なのかという質問じゃが、ここは死後の世界じゃ。」


「え、、、そんな、神様だって?本当に俺は死んでしまったのか?どうして?いったい何が原因なんですか?!」


そう俺が質問すると老人が申し訳なさそうな顔をしながらこう答えた。


「すまんが今回はわしの手違いで死んでしまったんじゃ。」


「手違いだって?うそだろ、どうしてくれるんですか俺はまだ生きてやりたいことがたくさんあったんです。もちろん生き返らせられるんですよね。ねぇ!」


「ふむ、もちろん生き返らせることは可能じゃ、だがしかし生き返らせるには本来死ぬ運命だった命がが必要じゃ。本来雷が原因で死ぬのはおぬしの幼馴染の杉浦碧乃というものじゃった。だがしかしこちらの手違いでおぬしの家に雷が落ちておぬしが死んでしまったのじゃ。」



「本来死ぬのが碧乃だって?うそだろ、そんな二人とも生きていられる方法はないんですか?」


老人が首をふった


「そんな……」


「本来ならわしに合うこともなく元の命が奪われ、おぬしは生きていられるのじゃが、特に親密なものの間柄なら自分か相手が死ぬのか選択することができるようになっておるんじゃ。」


(そんな、もしここで俺が生きることを選んだら碧乃が死ぬのか?

俺は生きていたい。

でももしここで俺が生きたいといえば俺が碧乃を殺すようなものじゃないか。)


「もし、もしですよ俺が代わりに死ぬという選択肢を取ったら碧乃は生きていられるんですよね?それで俺のほうはこれからどうなるんです?」


「本来人間は死んだら輪廻にもどされる。魂が漂白され記憶も何もかも残らずに次の命に生まれ変わる。だが今回のようなことが起きた時のために救済措置はある。だが今までこのような事態になった人間は皆自分が生きる道を選んだので今まで使われたことはない。」


「その救済措置って?」


「転生じゃよ。そなたの魂の記憶を残したまま生まれなおすのじゃ。だがここにも少し制約があっての、元のいた世界には転生することができないんじゃ。」


「じゃあ一体どんな世界に転生するんですか?」


「それはおぬしが決めることができる。」


「もし俺が生きることを選んだら碧乃は転生できるんですか?」


「いや、できぬ。この救済措置を与えられるのは被害者のおぬしだけじゃ。」


(どうしたらいいんだ。俺だって死にたくない。

俺はもう一回人生を歩むことができる。

で碧乃は死ぬしかない。それなら俺は…俺は…)


「それなら俺を転生させてください。」


「そうかそれがおぬしの選択か。それならどんな世界に転生したいかゆうてみよ。」


ゲームの世界に転生したいところだけど、あれは現実にある世界じゃない。

それならそれに近い世界に転生したいな、なら。


「剣と魔法がある世界に転生させてください。」


「うむわかった。さて転生に際しての注意事項だ。まずおぬしが行く世界はアトラスと言う世界じゃ。そこでは人間と魔物が戦っておる。」


「ま、魔物ですか?」


「そうじゃ。そして転生の注意事項じゃが、転生したことはあまり言わないでほしい。やむをえないえない場合や、信頼しているものならば構わん。また、赤子から人生をやり直すことになるから覚悟しておくのじゃ。」


「わかりました。」


「それでは転生を始めよう」


するとあたりが輝き始め周りが真っ暗になった。

これから何があるかわからない。


剣と魔法の世界。

ラノベ小説みたいな世界に憧れていた身にとってはとても楽しみではある。

自分で魔法が使うことができるかもしれない。


二度目の人生。

偶然手にしたものではあるけれどせっかくもらえたんだ。

せいぜい楽しもうじゃないか。


一抹の不安と期待を胸にだんだん意識が遠くなっていく。


「ここから俺の人生の再スタートだ!」

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