その背中を押したのは

勇者を輩出した村として、「はじまりの村」と呼ばれているアスカ村。

そこに暮らしているユーリは幼少の頃、一度勇者に魔物から守ってもらったことがあり、その出来事をきっかけに自分も誰かを守ることが出来る存在になりたいと勇者を目指した。

しかし、成長の過程でユーリの身体に異変が見られるようになった。

片方の瞳の色が変化してしまったのだ。

それは身体の中を巡る魔力の流れが悪くなることで起きる症状であり、「魔力不全」と呼ばれているものだった。

この症状が現れた者は魔術師は当然、身体の魔力の流れを読んで戦う剣士にもなれないと言われていた。

勇者なんてもってのほか。

それでも、ユーリは夢を諦めきれずに特訓を続けた。

けれど、同世代の子達の急激な成長を目の当たりにし、心のどこかで「自分にはもう…続きを読む