ねこのおうち?
磧沙木 希信
ねこのおうち?
「ねぇ、ママ。はやく、ねこのおうちに行こうよぉ」
いつもはお寝坊さんの息子が早起きして、不思議な事を言い出した。
隣にいるパパと顔を見合わせ、何の事かと疑問に思う。
猫のお家?
「猫のお家って、何かな? 」
「ねこのおうちはね、ねこのおうちだよ! 」
うーん、犬小屋的なやつかな。
でも、そんなのあるのかな?
「うーん、ああ、あれじゃないかぁママ。ネコカフェ」
「ああ、ネコカフェね。この前、テレビの猫の日特集でやってたよね。それを見て、猫に会いたくなっちゃったのかな」
「ねこかふぇ? しらない。きのうのよるね、パパとママがお話ししてたでしょ。 ねこのおうち」
昨日の夜?
「昨日は……。明日ハウスメーカーの住宅の内見に行こう、って言ってたのと、 帰りにファミレスでご飯でも食べようかー、ぐらいだよな」
「ええ。この子も大きくなってきたから、今のアパートじゃ手狭になってきたね、 って。もう電話で予約もしたし」
「でも、猫のお家なんて話し、してないよな」
やっぱりわからない。
もしかして、夢でも見たのかしら。
「うんとね、ほーむ、っておうちのことでしょ? 」
「ほーむ? ああ、英語のホームね。うんそうだよ、よく知ってるね」
「ほらぁ、やっぱり! ねぇ、はやく行こうよぉ、ねこのおうち。 ねこのお名前も決まってるんでしょ」
ダメだ、話しがグルグルしてる。
あんまり遅くなると予約の時間になって、ハウスメーカーさんに 迷惑がかかっちゃう。
もう一度、ゆっくり思い出してみる。
猫のお家。ハウスメーカー。住宅の内見。ファミレス。ご飯。アパート。電話。 猫の名前。
……!
ははぁ、そう言う事ね。
確かに、”猫のお家”ね。
なんて可愛い考えかしら。
「パパ、パパ。ちょっと耳貸して」
「ん? ああ」
答えをパパに聞かせると、直ぐに笑顔になり納得したようだ。
「アッハッハッハ! そうだな、確かに猫のお家だな。うんうん、間違ってないな」
そう言うと、パパは可愛い息子を抱っこして、優しく教えてあげた。
「ごめんな、今日行くところは猫のお家じゃないだよ」
「えぇー。きのう行くって言ってたのにぃ」
「ごめんな、猫のお家じゃないんだ」
……
「タマホームは」
ねこのおうち? 磧沙木 希信 @sekisakikisin
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