社畜、詰められる
ミキティーこと瑞希さんを見送った後、俺は新沙と家でゆっくりしていた。
「2人でゆっくりするのもいいね!ゆーくん!」
「そうだなぁ……」
有無を言わさない雰囲気に気圧され、俺は肯定する。そう返してくれたことが嬉しいのか、新沙は明るい表情を浮かべる。
「それよりも……良かったぁ、ゆーくんが盗られちゃうんじゃないかと思ったよ」
「別に俺は新沙の物でもないんだけどね?」
「もー、ゆーくんったら冗談言わないでよー!」
「いや冗談じゃn」
「は?」
この後、面倒な状態になった新沙に詰められたのは言うまでもない。
*****
「おはよーゆーくん」
「あぁ、おはよう新沙」
当たり前のように寝室から出てきた新沙に挨拶をしながら、俺は朝食を作り続ける。ふと新沙から視線を向けられていることに気が付き、どうしたと尋ねてみると……
「いや、新婚夫婦みたいだなーって!」
「……ハハッ、ソウダナー」
俺の返答に満足したのか、ニッコニコな新沙を横目に朝食を完成させる。完成した2人分の朝食を机に置き、新沙と一緒に朝のニュースを見ながら食べた。そこで、昨日起こった瑞希さんの放送事故が流れてきた。
そのニュースには瑞希さんへのインタビューも含まれており、俺のことはしっかりと口に出していなかった。
朝食を食べ終え、出社する支度をする。
着慣れた九条ギルドのスーツを着、新沙と一緒に家を出ようとすると……
「ねぇゆーくん、行ってきますのキスは?」
「朝から勘弁してくッ……いや何でもない。早く行こう。少しゆっくりしすぎた」
とんでもない雰囲気に出かけていた言葉が引っ込む。新沙はどうしても行ってきまキッスをしたいらしいが、俺は時間が無いからと断り続けた。
「でも走っていけばすぐに……」
「いいじゃないか出社デート。うんこれは出社デートだよ。楽しそうでしょ?早く行こうよ!」
どうしても諦めない新沙に痺れを切らした俺の馬鹿げた発言に、新沙は目を輝かせながら元気よくうん!と返事をした。あれこの人俺と同じ歳だよね?小学生に見えるんだけど……まぁいいか。
「ほら!ゆーくん早く行こ!急がないと電車に乗り遅れちゃうよ!」
「誰のせいだか。まぁ急いだ方がいいのは本当だな」
「うん!」
ご機嫌なようで、鼻歌を歌いながら先を行く新沙の後ろ姿を見つめる。彼女は、どうしてあんなにまで俺の事が好きなのだろうか。
高校の時、俺と何かあったと話していた。生憎だが、それを俺は覚えていない。あの時の俺は闇深かったからな。
「……わっかんねぇなぁ」
……考えても仕方がないか。そう俺は結論付けて、新沙の隣に並ぶ。隣でゆーくんと出社デート♡、とニヤケている新沙をの頭を俺は撫でた。
突然の俺の行動に驚いたのか、新沙ビクッとし、恐る恐るこちらを向いてくる。
「あの、えっと……?」
困惑の表情を浮かべる新沙。俺自身も何故そんなことをしたのかは分からない。無意識だったのだと思う。俺は彼女にふっと笑いながら言った。
「俺をまた独りにしないでくれよ」
新沙は何のことか分からないという表情をしていたが、元気に勿論!ずっと一緒だよ!と返事をした。
……このやり取りには謎の既視感があったが、恐らく気の所為だ。
これは彼女の絶対に忘れる事のない、彼と約束した記憶だ。
彼と親しくなって数ヶ月経ったある日、彼は虚ろな目で泣きながら私に伝えた。
『お前しか眼中にないから。お前以外何も要らないから。だから、だから……俺をまた独りにしないでくれ……!』
急に呼び出された後のこれだった為、私は何のことなのか分からなかったが……私は彼の言った言葉にこう言うしかないと思った。
『勿論!あなたのこと、絶対に独りにしないわ!ずーと一緒よ!』
その言葉を聞いて彼は安堵したのか、彼はその場に倒れた。私は彼を抱き上げ、赤ちゃんになったかのような彼を力強く抱擁する。
さっきも言ったけど、ねぇゆーくん。ずぅぅぅぅぅぅっと、一緒だよ♡
この事が優希の記憶に残っていないのは、誰も知る由もない。
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えちょまです。
久しぶりですねぇ。新作どうしようか迷ってて全然書いてなかった!
とりま新作ドォォォォォォ━(゚Д゚)━ォォォォォォン!!!
覗き魔、異世界転生する~スキルが『のぞく』なんですけどもう心変わりしたんです!~ - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16818093085336587662
1話しか書けてないけど、好評だったら頑張って毎日書く!
【第2章連載中!】【80万PV達成!】荷物持ちの最強社畜お兄さん、最深層から駆け上がって来るのを配信されてしまう~会社では雑魚と呼ばれていますが世間からは最強と謳われてるみたいです~ えちょま @mepuru127
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