高齢引きこもりがいずれ直面する現実と、直面して欲しい希望
- ★★★ Excellent!!!
引きこもりの親の死は避けられない現実です。
多くの場合、親は子どもより先に逝くでしょう。
この話の主人公の境遇はきついです。
私の周りにも引きこもりの中年と、中年の引きこもりの子どもを持つ親がいます。
だからより一層リアルに感じて見ていられない部分もありました。
会社勤めや結婚にもチャレンジした結果上手く行かなかった。
そこで切り替えてすぐに新しいことにチャレンジできる人ばかりではないですし、小説はそっち側のひと達に寄り添ってくれるものなのかと思います。
主人公の歯が悪いところとか、細かい部分にリアリティがあって惹き込まれました。
自意識過剰だったり、「母は最初から、私をひとりで生きていけないようにするつもりだったのかもしれない。」と、ネガティブに受け取ったり…主人公の性格形成もリアルでした。
暗いラストだったら嫌だなぁ…と思って読み進めましたが、希望のあるエンディングでほっとしました。