敷金礼金ゼロセキュリティ完備の魔王城ありマス~転生しても不動産業者だった件~【KAC20242】

だぶんぐる

雷獣の森に囲まれた雷降る最強の魔王城あり〼

「この魔王城は、前の魔王様が綺麗好きで状態もいいですし、罠完備ミミック付きなのでセキュリティ抜群です」


 新しく八大魔王に加わった【紅雷】のアルデは、呆然と話を聞いていた。


「立地も【紅雷】にふさわしく、雷が落ちやすい雷獣の森近くでロケーション最高です」


 男は多くの罠を回避し、雷獣を撃退し続けながら魔王城の設備の話を続ける。


 魔王城はある理由で、自分自身で手に入れねばならないので普通はどこにあるかを教えてくれるのみ。


 だが、目の前の男は言った。


『それでは、内見に向かいましょう』と。


「いかがでしょうか、魔王様」

「そ、そうじゃな。悪くない」

「敵近物件ではないので急襲も少ないですし、魔当たりも抜群なので魔素も集まりやすい。しかも、築年数まだ444年で100LDKでマジックインクローゼットも豊富ですからね」

「……お主は何故わざわざ魔王城の内見など行っているのだ」

「魔王様。最後にこちらをご覧ください」

「ここは……?」

「プライベートルームです。私が会った最初の魔王様は良い物件を提供できず勇者に殺されました。何が良くなかったのか。それは魔王様の生活を考えていなかったことです。魔王様も一人の魔人。プライベートの充実は必要です。その為には実際に見て頂きたい。魔王様の人生の為であれば、私は内見に命だって賭けられるのです」

「ふは、気に入った! 契約しよう!」


 アルデがそう告げると、黒い霧が集まってくる。


「その為に奴を」

「魔王城に宿る魔神に認めさせ契約する試練。微力ながらお手伝いさせて頂きます」


 現れた巨大な黒い魔神に新たな魔王と不動産業者は契約の為戦いを挑んだ。






「え? 引っ越す? まだ80年しか住んでないのにです?」

「うむ! 今の魔王城も気に入っているのだが、もう少し広い所にな」

「ご希望は何かありますか?」


 八大魔王最強となったアルデは男に告げる。


「今度の魔王城は寝室は二人用で気配りの出来る強い不動産業者の夫完備が良い」

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