第8話 ワンモアタイムプリーズ

 ちょっと新しいアパートを探して。

 結婚するから新居を――ってレベルではないことはわかっている。

 わかっているぞ私は賢いから。

 

 ということで、意味の分からない先輩に突然連れてこられた土地?でお城の案内をしてもらった私。どうやら今後私が住むところらしいが――。

 なんでこんなことになっているのか。はっきりはわかっていない。そうだよ。やっぱり何もわかってないわ。

 雰囲気的には、新しい住居の紹介をしてもらい。そしていろいろ説明を受けて――そのあと城内の広間?らしきところで今は最終確認みたいなことをしているのだけれども。

 多分この場に居る中で私だけが違うことを考えているというか。

 ちゃんと理解せずにこの場所に居る気がする――。

 とかとか私が思っていると。


「じゃあ、こことここだけ変更で」

「かしこまりました」


 先輩が話をまとめて居り。

 今まで私と先輩を案内してくれた人が先輩に頭を下げて部屋を出て行った。

 一応つられる形で私もお辞儀をしたのだが――って。


「先輩」

「なんだ?」

「私本当にここに住むんですか?」

「まあ、後々はな。とりあえずできた見たいだったから。早くあゆみに見せたかったのと。そろそろ本当のことをちゃんと話さないといけない時期だったというのも――」

「えっと――うーん。とりあえず。先輩は私の住んでいた世界の人ではない?」

「ということだな」

「そして、流れ的に――王様――の子?」

「まあ今は親父が王だな」

「……私はなんて人に捕まったのか」

「いや、この国では異世界の花嫁を連れてくる決まりが――」

「そんな決まりあるんですか!?というかそんな簡単に行き来できるもんなんですかね!?」

「まあ限られた人だけ」

「それが先輩と!?」

「まあ」

「……」


 ヤバい。

 私――なんでこんな先輩にラブコールしちゃったのか。まあ逃げ出したい。ではないが。


「先輩。とりあえず――後日でいいので一から説明お願いします」

「ああ」

「ってか、一つ聞きたいんですが」

「うん?」

「イウキ――というのが先輩の本当の名前?」

「ああ。そうだ」

「じゃあ――魚崎憂というのは――先輩が作ったというか。偽名だった」

「あー、まあでもちゃんと自分の名前からだぞ?」

「へっ?どこが?」

「『うおざきうい』反対から読んだら――」

「――い、う、き、ざ、お、う?えっ、まさかですが――「イウキ・ザ・王」ってことだったりします?」


 えっ、そんな雑な――というか。そもそもここが別世界ならそんな英語?ローマ字?と漢字が混ざったような変な名前を思いつくのだろうか?


「母さんが」

「……あっ、先輩お母さんって」

「あゆみと同じところからで」


 なるほど――いや、なるほどと言っていいのだろうか?ってか、そんなの気が付くか!

 ってか、ガチで私こっちで住むみたいで話し進んでいるというか――。


「私の人生どうなるの!?」

「えっ?だから――一緒に住むだろ?」


 いやいや先輩。サラッと言いますがね。

 いろいろ問題山済み――いや、そこまでない?でも私が急にいなくなったら。向こうの世界では大騒ぎ――になるかな?うーん。わかんないけど。

 とにかくだ。


「――魚崎憂先輩」

「うん?どうした?」

「ワンモアタイムプリーズ」


 その後私は先輩が呆れるまで何度も何度も同じことをとりあえず壊れたように聞き返すのだった。

 いや、だって本当に私の今後どうなるんだろう――?だから。




 了

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ワンモアタイムプリーズ。先輩。 くすのきさくら @yu24meteora

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