第7話 私かわいい

 先輩にお姫様抱っこされました。

 そしたら何故かは知らないけどお城に運ばれました。

 そしてそして気が付いたらたくさんの人に囲まれて――というかすごく騒がしく?なって。

 なんやかんやといろいろな会話(なんか久しぶりに地元に有名人が帰って来た?ような騒ぎ)が、しばらくあって。

 先輩が明らかにお偉いさんとわかる服装をした人たちと話していると思ったら。私はメイドさん?いや、使用人さん?というのだろうか?お世話係?

 とにかく。同年代?くらいの女性たちに囲まれ。あれよこれよと着替えなどなどありまして――って、自分で着替えれる!なんなのこれ!?と、本当は言いたかったけど、あまりの手際の良さに私は何も言えないまま――。


「――おお、あゆみ。似合ってるな」

「――」


 いつもより明らかに良く話すようになった先輩と少しぶりに今再会したところである。

 ちなみに今の私は生まれて初めてドレスとやらを着ている。

 お姫様になった気分――いや、お姫様?なんかキラキラしているというか。偽物?だと思うけど。宝石?みたいなものも身に着けたりと――なんか私が私でなくなったというか。

 とにかく説明求である。


「あゆみ?」

「先輩。これはどういうことなのでしょうかね?」

「えっと。まあここは俺の親の城というか――」

「いや、城と言われましてもね。って、そもそもここは」

「俺の国――って、さっきは言ったが。正確には親の国か。でも代が変われば俺の国でもある」

「いや――えっ?」


 誰かちゃんと説明して。先輩がいつもより良く話すようにはなったけど。

 ってか、これが本当に先輩なのかわからないのと――なんか周りに視線。使用人さん?が居るから。いつもの私のペースに持ち込めない――。


「まあいきなり連れてきたのは謝る。悪い」

「えっと――その。うん?私は何をしているのか――」

「とにかく、あゆみ。一緒に住むための家を見に行こう」

「……」


 あー、どうしよう。この先輩また意味わからない事言っている。

 いや、そもそもは先輩がそんなことを言い出したからおかしくなったのだっけ?とにかく――うん。落ち着け私。

 落ち着け――落ち着け……。


 無理でした。


 その後のことを簡単に言うと。

 結局ここはどこ?だった私はまた先輩と――何人かの御付き?先輩曰く護衛?いやいや護衛って――だったけど。今はそれどころじゃないというか。新しい情報増やすな馬鹿。とか頭の中で思いつつとにかく。先輩に言われるがまま。場所を移動した。

 そうそう初めて馬車に乗った。

 乗り心地は――まあ普通。そこそこ揺れた。あとお尻痛い。

 しばらく馬車で運ばれた私は見慣れない町をしばらく見て――そして少し緑が多いところを通過。からのに居た。


「おお、さすがに出来ているな」

「はい。イウキ様の戻られる少し前に完成しました」

「中を見せてくれ」

「こちらです」

「――」


 先ほど私がなんやかんやと今の姿。ドレス姿にさせられたお城よりかは小さい――いや、でも大きいかな。あと、明らかに真新しいお城の前に私は居た。

 先輩は年配の使用人?さんと話しているが。いやいやなんですかこれ。

 もう頭の中パンクして何も私考えられなくなりそうなんですが――。


「あゆみ?」

「――えっと。先輩」

「うん?」

「今私は何をしているんですかね?」

「えっと――ざっくり言えば。これから住む家の見学会?」

「――住む――誰と?」

「そりゃ俺と」

「まあ、そうですよね――そうですよね――って、そうですよね!ってなるか!」


 周りの人が微笑ましそうに私たちを見ているが。そんなの関係ない。

 一体何がどうなってこんなことになって、私は先輩と一緒に住む?お城の見学会に来ているのだ?もうわからんぞ?いや、はじめからわからんぞ?


「えっと――馬車の中で説明したと思うけど――」

「全く耳に届いてませんでいた」

「そうなのか。まあ初めての土地だからな」

「だからここはどこ――」

「あっ。さっきも言ったが。いつでも帰れるから」

「帰れる――?うん?」

「いや、あゆみの世界に」

「私の世界!?」

 

 何々?私世界握っちゃったの?って、今の流れからして私が今まで住んでいた場所の事か――って、そんな簡単に納得できるか!。って、実際私は確かの別世界に今いる感覚はあるんだけど――。


「とにかく、これから住むところだから。あゆみの意見も聞いて最終調整というか。このお城を完成させたいというか――」

「いやいや、お城――って、先輩は何者」

「いや、それもさっき話したと思うが――」

「何も届いてません」

「なら――まあ今は案内人を待たせているからお城を見た後でもう一回話そうか」

「――ははは」


 呆れ笑い――ではないが。いや、呆れ笑い――かもしれないが。

 どうにでもなれ。という感じの私はそのあと先輩に言われるがまま。お城の中の案内をしてもらうことになったのだった。

 いやいや、マジでももう何なの私ってか、何がどうなってるの! 

 なんとなくは――まあわかって来たけど。私が別世界に来ているということくらいは――。


 それから私は先輩と共に身なりに良い。案内人さん?年配の人に1つ1つ室内を城内を案内してもらい――にやけていた。


 なんでにやけていたか?

 それは――。


「にしてもイウキ様の婚約者様はお美しい」


 お世辞とわかっていたが。何度も何度も褒められたら。そりゃ嬉しいのである。


 そんなこんなで何故か先輩との新居?いや、お城の場合も新居なのか――って、何故かお城で住む流れで話が進んでいったのだった。

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