第6話 だから先輩は何者なんだ
「――なっ!?」
「あっ、大丈夫か?あゆみ」
「えっ――天国?」
「いや、俺の国だけど」
「……」
はて?私の身体には何が起こったのでしょうかね?
全くわかりませんが。今の現状を言うと――。
「先輩。顔近い」
「あー、悪い」
目の前に先輩の顔があって少しドキドキ――って、私よ。よく冷静に話した。
普段ならちょっとわたわたするような状況だったかもしれないけど。
頭の中がなんかぐるぐる回ったような感覚があったため。目を覚ました私は。なんか変な気分だったが。冷静な反応が出来た。
先輩の顔が離れると。私の視線の先には青空が見える。
どうやら私は青空を見つつ――寝転んでいる?って、ちょっと背中痛くない?なんで?
――ザラッ。
「……砂――?砂だね」
うん。砂だった。
手当たり次第にというか。手を少し動かしたら手に砂が付いた。
つまり私は地面に寝転んでいる?何故!?
「って、先輩!なんで私は地面に寝かされてるんですか!」
とりあえず私が飛び起きるといつも通りの先輩が私の方を見ていた。
「いや、移動したらあゆみが倒れたから。ちょっとした副作用かなんかと思ったからとりあえず寝かせたんだが――」
「いろいろ聞きたい事――というか。彼女を地面に放置するな!」
背中を触ると砂が付いているのがわかる。私は払いながら先輩に詰め寄る。
ちなみに私たちは草原のど真ん中――に居るらしい。
いやいや、なんで?確か先輩の家に居なかったっけ?
「まあ、いろいろは――その後だな。とりあえず城に帰ろう」
「――城?って、そういえば先輩さっきなんか気になること言ったような――」
「何か言ったか?」
「言いませんでしたかね?」
なんか重要なことを言った気がするが――いろいろあって気が動転している私は思い出せずにいた。すると先輩が『起きたならとりあえず行こう。みんなにも紹介しないといけないから』などと言い出し歩き出したため。私は慌てて付いていく。
みんなって何?とか。そもそもここどこ!?とかとかいろいろあるけど。とりあえず私は先輩を追いかけて――って。
「なんで裸足で地面歩かないといけないの!」
歩き出してなんか足元が痛いな。と思ったら私靴下だけでした。
「あっ。悪い。あゆみの忘れた」
先輩の足元を見ると――普通に靴は居ている。なんで!?
「何がどうなってるの!って、ここどこ!?」
「だから。えっと――」
「ってか。なんか先輩がいつもより話してる!それもおかしい!」
「いや、おかしいと言われても――あれは偽の――」
「あー、とにかく彼女を裸足で歩かせるとかどういうこと!?って、砂だらけだし――」
「それは悪い。でも少し行けば城があるからそこに行けば着替えも、使用人も居るからいろいろしてくれるはずだ」
「――また城。って、うん?使用人?うん!?」
ダメだ。私の頭の中がいろいろ付いていっていない。
先輩が何を言ってるのかちょっとわからない。
いや、城とか使用人はわかるよ?でも――今までの先輩との生活でそんな言葉は――。
「とりあえず。あゆみ。行くぞ」
「えっ。ふきゃあっ」
すると普段なら絶対先輩がしない事。
私をお姫様抱っこして歩き出した。
いやいやいやいやいや、明日雪が降る。いや、槍が降るから!先輩がこんな事するわけないから!そもそも私に触れるのもきょどっててなかなか触れてこなかった先輩がサラッとこんな事するとかおかしいから!やっぱり先輩は偽物。この先輩偽物か!私は騙されて――えっ?じゃあやっぱりここは――天国?うん?
もう何がなんだがわかんない――。
って、軽々と私持ち上げられてるけど?えっ?重いでしょ。重いよね?何で先輩がサラッとこんなことに――もうホントいろいろわかんない!
私の頭の中が混乱している間に先輩は歩き出しており。
周りの事なんか見る余裕がなかった私。
この後少しして――。
「……マジで城だと」
目の前にはガチの城。
テーマパークとかにある城――に、近いかもしれないが。いや、違う。もっとガチで城というか。ここはどこ?ヨーロッパとかそんなところ?って、今更気が付いたけど。私めっちゃ見られてません!?見られてるよね?って、なんか黒い服着た人が慌ただしく近寄って来てません?って、ここは――お城の入り口……えっ?何何?!
「――やっぱりここ天国じゃない?」
先輩にお姫様抱っこをされたまま私はそんなことをしばらくつぶやくのだった。
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