第16話コラボ配信

 それから特に問題もなくコラボ当日となった。


「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」


 高天さんは下層までは攻略できることを知っているので下層で配信する予定になっている。


「それじゃあ早速始めますね」

「了解です」


 そして高天さんは慣れた手つきで配信を始めた。


「どうもみなさんこんにちは今回は強くなる回?的な感じです。そしてコラボなのでその人に教えてもらう予定です」

コメント

>コラボすかぁ

>誰だろ

>割と予想はつくけどな


「まあ予想ついてる人も多いと思いますが今日コラボするのはクロさんです!」

コメント

>まあそりゃそうだな

>人に教えられるのかな

>てことは俺らも真似すればちょっとは強くなるか?

>これ次第では強くしてほしい人がめっちゃ出てきそう


「どうもよろしくお願いしますクロです」

「じゃあ早速始めていきましょうか」

「それじゃはじめにまずダンジョンでイレギュラーを除いて一番なっちゃいけない状況とかってなんだと思います?」

「え?囲まれるとかですかね」

「それもあるんですが一番やばいと思うのは個人的には不意打ちなんですよね。持論ですけど」

「確かに」

「それに不意打ちに気付ければ基本的にも囲まれるのにも気づけます」

「それもそうですね」

「で、その気付くための方法ですが正直魔力探知さえできれば何とかなります」

「でも私は魔力探知ではないですけど感知スキル持ってますよ」

「え、そうなんですか?」

「ええ、まあ」

「ちなみに戦闘スタイルはどんな感じですか?」

「不意打ちする感じなので感知スキルで敵の位置を調べて、隠密スキルで隠れて攻撃する感じですね」

「なら不意打ちが決まらない、もしくは不意打ちしても生き延びられた場合での対策というか戦闘の練習しましょうか」

「そうですね」

コメント

>あのーーー、、、俺たち教えてほしいんですが、、、

>正直周りがわかるやつ欲しいよ

>教えてくれよーーー

>それがあるとないとじゃ普通に探索が大違い


「なんか魔力探知教えてほしいって人がいますね」

「ああーそっかそういう人もいるか、じゃあ教えますが魔力を薄く広く広げるとなんとなく周りの風景が認知出来るようになるのでそれをずっと続けられるまで使い続けてください」

コメント

>やってみよ

>試してみるか

>ありがとうございます


「それで割と楽になると思いますよ、でも偶にそういう探知に引っかかりにくいやつもいるので気を付けてくださいね」

コメント

>了解です

>てかこれかなりむずいな

>まあ継続あるのみだな


「じゃあ始めていきますね、まずはモンスターとの戦闘をしましょう」

「分かりました、始める前にアドバイスとかありますか?」

「とりあえず戦ってみてくださいそこからアドバイスを入れていきます」

「それでどのモンスターと戦うんです?」

「少し待ってくださいちょっと難易度調整します」

「え?難易度調整?」

「普段どんなモンスター狩ってますか?」

「あ、えっと、ここの階層のモンスターですね、そして偶にパーティーでボスとか倒す感じです」

「じゃあソロ向けボスを作りますか」

「え?作る?はい?」

「ちなみに実験しましたが、深層最終ボスまでしか出せないですね」

コメント

>までしか?

>実験してて無事?

>あれ?

>てかそれダイジョブか?


「ダイジョブですよ!万一危なくなったらカバー入れるので、それより完成したので出しますね!」


 魔法陣を展開しそこから人型の影が出てくる。


「てことでデュラハン召喚です」

「え、わーお」

「何呆けてるんですか」


 召喚した瞬間襲い掛かってきたのでとりあえず右手で剣を掴み抑える。


「早く戦いますよ」


 すぐさま蹴り飛ばし守れる距離で眺める。


「あ、はい!分かりました!」


 そう声をかけるとハッとしたように短剣を構えた。

 そこから戦闘が始まるが、デュラハンは大剣、高天さんは短剣なのでリーチ差もあり、パワー負けもしていて徐々に押されていった。


「危ないですね」

「あ、すいません」


 横腹から切られそうになっていたのですんでのところで剣を掴んで止める。


「じゃあアドバイスですね、まず高天さんは武器が短剣なので出来るだけ攻撃には当たらないようにしてください、最悪攻撃をしなくても良いです、余裕のある時だけ攻撃してください、普通に打ち合ったら同じ短剣以外には負けるのでひたすらよけまくると良いですよ」

コメント

>この画面裏がなぁ

>言ってることは普通にいいことなんだが、、、

>おいデュラハンお前、もっとやれるだろ!

>ピクリとも大剣が動いてなくて草


「でも、なかなか難しくないですか?」

「ならまずは攻撃を考えずに避ける、または受け流しまくって下さい、コツは相手の攻撃を予測することですよ」


--------------------

ここから高天視点


 今日私はクロさんに強くしてもらうためにコラボをお願いした。

 クロさんは快く了承してくれてそれに短剣での戦い方も教えてくれた。


「相手の攻撃を、、予測」


 そうは言われてもどうするかの想像すらつかない、でも今はとにかく避ける。でも避ける度に体制が悪くなり避けにくくなっている。そうして気づけばもうまた致命傷が入るであろう攻撃が飛んでくる。それが来るたびにクロさんが止めてくれるがその度に私は自分が不甲斐なく感じる。


「ハアッハアッ」

「少し休憩しましょうか」

「は、はい」

「まあ休憩しながら少し解説しますね」

「お、お願いします」

「まず、高天さんはよける時に必要以上に警戒しすぎですし攻撃そのものにしか注意を向けていません。なので相手全体をとらえてください、特に視線または手の動きなどを見てください、まあ今回は視線とかないですけど」

「は、はい」


 もうここまでで4時間もかかっている。貴重な時間を奪ってまでお願いするものなのかというものなのかという思いがさらに申し訳なさを加速させる。


「最後に一つ言いますが、そんなに焦らなくて良いです。俺の時間なんていくらでも余ってるので、それに最初からうまくいくはずもないですしね。まあそうは言ってもその様子を見ると全然落ち着けなさそうですが、、、」

「す、すみません」

「いや、謝らなくて良いんですよ、、なんて言葉を掛ければいいのか、、、」


 そうしてクロさんは大剣を掴みながら悩んでいる。それを見る度にどんどん申し訳なくなってくる。


「これ以上私に時間を使わなくて大丈夫ですよ、すみませんここまで教えていただいて、ありがとうございました」

「待ってください!ほんとに俺は気にしてませんし、それに俺の時間なんていつもグータラしかしてないですしね」

「で、でも」

「本当に大丈夫です!頑固ですねぇ!」

「そっちこそ頑固ですね!!大人しく無駄にしたって自覚してくださいよ!」

「ひどくないですか!?じゃあ無駄にならないようにやらせてくださいよ!!」

「これ以上無駄にさせないでくださいって言ってるんです!早くそいつ倒して終わりにしましょうよ!」

コメント

>www

>ある意味平和

>てか画面裏ぇ

>どっちも頑固定期

>草


「、、、」

「、、、」

「すみませんでした、、熱くなってしまって」

「い、いえこちらこそすみません」

「さ、最後にもう一回だけやってみませんか?」

「わ、分かりました」


 でもさっきのでなぜか少しだけ、少しだけな気がするけど焦る気持ちが無くなった気がする。そしてクロさんが大剣を掴んでいた手を放す。


「落ち着いて、、、よく相手の手と目を見る、、、」


 先ほどよりも多少落ち着いているからか確実に余裕をもってよけられている。でもやはりだんだんと避けるのが難しくなっていく。


「もっと全体を見て警戒しすぎない、、、もっと集中!」


 もっと全体をとらえて間合いなども確認しながら避ける。


「ってフェイント!?」


 フェイントに気付くのに少し遅れ攻撃に当たりそうになってしまった。


「大丈夫ですか!?すぐに倒します!」

「いや大丈夫です!あとちょっとでコツがつかめる気がするんです!」

「分かりました、、、ほんとに危ないと思ったらすぐ言ってください」


 さっきのはフェイントに反応できなかっただけでなくそもそもの体制とかも悪かった、一回距離を取れて落ち着けたからよかったものの、、、


「もっと見れるようになればなぁ、、、もっと詳しいとこまで見てわかるようになれれば、、、何か、何かもっと情報を得られる方法は、、、あ!やってみるか」


 私はそのスキルを使う、それもただ使うだけでなく集中して相手だけに作用するように


「やっぱりさっきよりも何倍も見やすいし細かな動きまで把握できる」


 私が今使ったのは索敵スキルだ。それを索敵ではなく相手の動きを察知できるように集中して使った。これでさっきよりも安定して攻撃を避けられるようになった。そこに加えて少しずつだが攻撃を加えられるようになってきた。でも


「ハァハァハァ、、、もう割と、限界だって!!しぶといなぁ」


 もうかれこれ1時間も戦っているなんか頭も痛くなってきたしそろそろ本当に限界だ。


「グァァァァァァ」


 まるで勝ったのように雄叫びをあげなからその大剣を振り下ろしてくる。


「これで最後っ!!」


 残った体力で最後の渾身のカウンターを入れる、その一撃を放つともう私は立てなくなりその場に倒れ伏した。


「せっかく上手く行ってたのになぁ、、、」

「おめでとうございます!!倒せましたよ!!」

「え?、、、そうなの、、?」

「はい、紛れもなく高天さんが倒しましたお疲れ様です!」

「て、あれ?レベルが上がった?」

「あーやっぱり俺以外が倒すと経験値入るんですね」

「てもう疲れたぁ!ほんとに疲れたぁ!」

コメント

>お疲れー

>凄かったよ!

>ほんとにできるようなものなんだなぁ


「やはりアイテムはなしと」

「じゃあそろそろ配信を終わりますねー、見てくださりありがとうございました」

コメント

>おつー

>楽しかったよー


「お疲れ様でした今日は帰って休んでください」

「はい、ありがとうございます」

「次回からは多対一などの戦闘練習とレベル上げをするのでよろしくお願いします」

「次回もやるんですか?こんなに時間取らせてしまったのに」

「良いんですよどうせろくなことに時間を使ってませんから俺は」


 その言葉を最後に今日は解散となった。今もまだ少し頭が痛いがそれは強くなった証拠として甘んじて受け入れることにする。


「シャワー入って寝よ、、、」


そんな呟きは家の中で静かに響くのであった。


--------------------

ここまで読んでくださりありがとうございました!!

もうこんなに経っちゃった、、、

ちょっと最近スランプ気味でちょっと更新頻度落ちると思います。でも出来るだけ早く出すので気長に待ってくださると嬉しいです。

あ、あとフォロワー3100人と20万PV、星1100個とすごく感謝です!!

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バズらなくてやめてしまった最強の元ダンジョン配信者、人気配信者を助けてバズる~やめた後にバズられても、、、~ @kuronekonokaineko

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