ありふれたほどに王道な題材を、緻密に、適度な長さでしっかりと仕上げています。これは読みごたえがありますよ!
読み手に与えられる情報は少ないです。「妖精」が「物件」を「紹介」する。それで十分です。組み立てるパーツは読み手の頭の中にあります。自由に構築し、登場人物を配置して、物語を展開させます。読み手である自分の視点はどこに置こうか。窓から見える風景を想像することが楽しい短編小説。絵本の中にいるようなふわふわした読後感は作者さんが作り上げる唯一のもの。妖精の物件探し。もう、読みたくなるでしょ、これ。
生きるのに必要な衣食住。それは、人間も妖精も同じこと。妖精だって、自分が住みたい場所がある。そんな時、妖精たちはオーパスの元に訪れるのだろう。あなたはどこへ住みたい? 日当たりの良い場所? それとも暗い場所?高い場所? それとも地面の下?森の中? それとも、人間の街?刺激的な新生活が待っている。