KAC20242 幸せは、儚く脆いもの…… たった一つの偶然が、うさ耳ひゃほー。

久遠 れんり

救う神は居た。ーバニーランド王国転移物語。きみは、うさ耳を見たか?ー

「もう三年か」

「そうね。なんだか、あっという間」

 向かい合う彼女は、妻である誘女ゆめ


 俺、間貫信道まぬき のぶみちと大学三年の時に知りあい、付き合いが始まった。当時彼女は男と別れたばかり。

 だが、元彼など俺は気にしない。そう、別れているのならね。


 卒業後結婚して、今三年目。


「こんなのがあるぞ」

 見かけたのは、少し遠いが、庭付きの新興住宅街。

 病院や保育園。小さめだが、スーパーや美容院まで建設予定。

 そして時間は掛かるが、駅が造られる予定。


 田舎で、綺麗な川まである。


「ここまで一時間半は辛いが、値段が安い。四千万だが分譲が80坪だ。庭が広く取れる。駅ができるまでの特別価格らしい」

「そこって、土地はどうなの?」

 妻はスマホを睨み、魚肉セージを咥えつつ聞いてきた。


「深緑ニュータウン。ええと、『知れず森』? だってさ。昔は人が居なかったのかな?」

 だが、別名失せ人の森だった。


 当日、以外と人気で、いくつかの家族がやって来ていた。

 子供達は風船を持ち走って行く。


 綺麗に整地され区画も整備。

 ひろい区画は、上段らしい。


「あっ。狭間様申し訳ありません。おわかりになりましたか?」

 案内に付いてくれた会場の方が、別の家族を見つける。

「ええ判りました。案内板もありますし…… 大丈夫」

 いきなり、こっちを見て口調が変わった? いや見たことがある。

 こいつは妻の元彼。


 だが、元彼じゃなかった。

「好男。その女は何? その子供は?」

 俺の横で妻が叫ぶ。

「あたしと結婚するんじゃなかったの?」

 はっ? 俺と結婚しているのは誰?


 男は焦っているが、暴走モードの妻は止まらない。


 彼の家族は呆然。

 俺も呆然。

 担当者さんも呆然。

 おれは、その様子を少し撮影した後。内見する家へ向かう。


 何処でもいい。逃げたかった。

 鍵を開け、ドアを開く。


 一斉に周りから注目される。

 彼らは、武装した男達。


 見回し、受付カウンターへ向かう。

「登録します。うさ耳大好きです」

 バニーランド王国、冒険者ギルドと書いてあった。

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