おばあちゃんの予言を外せ!

にゃべ♪

パイクは奔走する

 パイクには三分以内にやらなければならないことがあった。それは、死んだばあちゃんの予言を外すことだ。ばあちゃんの予言はほぼ当たる。その評判は首都の王にも届くほどだ。

 しかし今度の予言はどうしても外さないといけない。何故なら、この国に魔王軍が攻めてくると言うものだからだ。


 パイクはこの予言を知って外そうと頑張ってきた。ばあちゃんの予言は条件が外れたら当たらないからだ。滅多にないものの、そうやって外れた予言も幾つかあった。


 彼はまずこの予言を広めた。吟遊詩人にも歌ってもらった。予言が知れ渡れば何かが変わると思ったのだ。しかし特に大きな変化は見られなかった。いくらばあちゃんの予言とは言え、全員が信じると言うものではなかったからだ。何人かの金持ちは国から離れたけど、その程度じゃあ予言は外れない。

 そこで今度は国を変えようと試みた。パイク自身が政治にも乗り出した。ただ、彼にそこまでのカリスマ性はなかった。


 色々試したものの、どうしても予言が示す未来の光景に収束していく。このままでは確実に予言は当たるだろう。パイクはもはやテロでも起こすしかないとまで追い込まれていく。

 しかし残り3分で事件を起こしたところで、もう魔王軍は出撃してることだろう。何もかもが手遅れだ。彼は自分の行動力の遅さに絶望する。そして――。


「魔王軍が攻めてきたぞー!」


 予言がまた一秒の狂いもなく当たってしまった。このままでは多くの犠牲者が発生してしまう。

 意を決したパイクは、衛兵が止めるのも聞かず街の外に出る。近付いてくる数万の魔王軍を前に、彼は怪しい占い師から手に入れた魔法のランプを取り出してそれをこすった。


「ランプの精、助けてくれ」

「よっしゃ!」


 ランプの精が指を鳴らすと、亜空間から無数のバッファローが現れた。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ。その濁流に飲まれた魔王軍はあっさりと壊滅する。

 こうして、世界は救われたのだった。

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おばあちゃんの予言を外せ! にゃべ♪ @nyabech2016

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