ジャガさんずラブ

@tamayomukaku

イモ臭い青春群像劇BL小説


【ジャガさんずLOVE♡】



メークインは朝から

ウキウキ気分で歩いていた。

今日は憧れの先輩である

ニシユタカと一緒に

農協まで軽トラで

ドライブデートするからだ。


ニシユタカは

その端正なフォルムと

甘いマスク

煮崩れのしにくさによって

多くの女子から

絶大な支持を受ける

人気のじゃがイケであり

メークインもまた

ニシユタカに対して

恋の新芽が芽生えていた。


けれど…

こんな想いが

通じるわけがないと

メークインは諦めていた。


なぜなら

メークインとニシユタカは

男同士だったからだ。


いつもニシユタカの周りを

女子達が

芋の子を洗うように

集まっているのを遠くから

ただ眺めているだけの恋だった。


そんなメークインの視線に

ニシユタカは気付いていた。

実は彼もまた

メークインに恋をしていたのだ。


彼から来ないのなら

自分から行くしかないと

そう思ったニシユタカは

メークインに告白した。


突然の出来事に戸惑い

ガレットからかわれて

いるのかと疑った

メークインだったが

彼の想いが本物だと

気付いたとき

燃え上がった恋心は

芋づる式に

二人は同性という状況を

ものともせず

イモくさい交際を

スタートさせたのだった。


恋芋同士になって初デート。

メークインが畑で

愛する芋を待っていると

キンピラ男たちが

農道の向こうから

ゴロゴロと転がってきた。


見覚えがある

ゴロゴロ具合だ。

あいつは

この界隈じゃ有名な

ゴロつき男爵!



『ぉう!

メークインじゃねえか?

ポポポ…

こんなところで何やってんだよ。

畑なんかで

ポテっとしてねえで

俺達と

フリフリして遊ばねえか?』



「ごめん…

今日は…

大事な用事があるんジャガ…」



『ポポポ…

どうせニシユタカのやつを

待っているんだろ?

あいつは来ねえよ…

あいつの赤いトラクターの

タイヤをズタズタに

してやったからな!』



「言ってる意味が…

わからないんじゃが?!」



そのとき

男爵が引き連れた

イモ男たちが一斉に

メークインの身体を拘束し

メークインは

身動きが取れなくなった。



「お、おい男爵!

これは一体…

何のつもりジャガ?」



『何って?

決まってんだろ!

お前を美味しく

料理してやろうってのさ。

カレーか?

シチューか?

肉ジャガか?

ポポポ…

俺は昔から

お前が好きだったんだ。

その瑞々しい色合いに

程よい凸凹具合

お前のことを考えるだけで

俺はもう

カリッカリの

フライドポテトに

なっちまうんだよっ!』



そう言うと

男爵は男たちに命令し

メークインをまるで

マッシュポテトにするかのように

ぽてっと

地面へと押し倒させた。



「くそっ!

やめるじゃが!

こんなことすると

ニシユタカが

ただじゃすまさないん

ジャガらね!」



『ポポポ…

誰も来やしねえさ。

これはフカシじゃ無えぞ

俺は腐った

フカシ芋なんかじゃねぇんだ!』



男たちの魔の手が

メークインへと伸び

その皮を強引に剥がしていく。



「やめてジャガ…

脱がすんなら

ピーラーを使って

欲しいんジャガ…」



『ポーッポッポ!

そう嫌がるなよ。

ポポポ…

すぐに気持ちよく

ヌイてやるぜ…

お前のアクをなっ!』



「悪はお前のほうジャガ!

ニシユタカ…

助けてくれジャガ!」



『お前さては…

新じゃがだな?

ポポポ…

興奮しすぎて思わず

先走りポタージュが

出ちまいそうだぜ♪』



抗うメークイン。

しかし

男たちはビクともしない。

そのうちに男爵の手によって

メークインのジャガリコが

ニョッキとさらけ出される。



『お前…

新ジャガのくせに…

こんなに立派な

サツマイモじゃねえか!

ますますたまんねえぜ。

俺の石焼き芋は

もうアツアツだぜ!』



「ふんっ!

どこが石焼き芋だ?

せいぜい干し芋じゃないか!

ボールは

コロッケにも

満たないジャガ!」



メークインは

強がりを言ってみせた。



『この野郎…

俺がちょっと

スイートポテトな顔してたら

調子に乗りやがって!

これでもまだ

そんな強がりが言えるのかなっ?』



男爵は懐から

キラリと光るものを

取り出した。



「そ…それは…

ハンドマッシャーじゃが?」



『マッシュマシュの

ギッタギタにしてやるぜ!』



男爵の

ポテトマッシャーが

メークインに

スマッシュする。

あぁ…

こんなやつに

調理されたくはない。

それなのに

メークインの身体は

少しずつ

反応を示していった。



「ブサイクな

イモ野郎めっ!

僕に触っていいのは

ニシユタカだけだ!」



『ポポポ

せいぜいほざいてろ。

上の口では

そんなこと言っていても

下のサッポロポテトは

もうこんなに

バーベキューじゃねえか?』



このままじゃ

僕は本当に

じゃがバターに

なってしまう?



『おいおい?

こいつ…

吹いちまうんじゃないか?

とんだ粉吹き芋だぜ!

ポーッポッポッポ!!」



まるでニシユタカを

裏切っている気持ちだった。

こんなゴリライモに

好き勝手されるのは嫌だ。

頼むニシユタカ

早く助けに来て―!



『もう出そうなんだろ?

ガマンしてんじゃねえよ

自分の身体に正直になって…

とろっとろのデンプン

マッシューって

出しちまいな!』



次の瞬間!



爆音とともに

畑の中から

一台のコンバインが

飛び出してきて

男爵たちを

次々と煮っ転がしていった。



《おどろき!芋の木!山芋の木!

煮物に!フライに!チップスに!

やって来い来い!大悪党!

カーネリングポテパーンチ!》



『ポポポぐわぁ!

覚えてイモー!

ベニ~アカ~リ~!

(はひ〜ふへほ〜的な?)』



《俺のメークインに

手を出しやがって!

ひと〜つ…

カレーのルーをすすり…

ふた〜つ…

不埒な煮崩れ三昧…

みっつ…

醜いお前ら全員…

無人販売所行きだぜっ!》



コンバインから降りてきたのは

ニシユタカだった。



「ニ…ニシユタカぁ!」



《大丈夫か?

メークイン!

ああ…こんなに

悲惨な姿にされちまって…

あいつら…

ニクいジャガー!》



「ううん…

来てくれるって信じゃが。

嬉しんジャガ?

あれ?おかしいな…

目からヴィシソワーズが…

止まらないジャガー!

ポテッポテッと…」



《剥かれてるからさ…

剥かれてるからさ…》



「いーもん

いーもん…

やっと…

ニシユタカと

ごった煮じゃが…」



《俺の…

種芋になってくれないか!》



「いっぱいいっぱい

小ジャガ作りたい…じゃが♡」



メークインと

ニシユタカは抱き合い

二人で愛の二毛作を誓うのだった。




そんな二人の姿を

見つめる目があった。



ドイツ人…

インカルージュだった。




「あんたに

ニシユタカは

渡さない…

グーテンイモルゲン〜!」





次回…

めざめたインカの

出るか

ジャーマンスープレックス!


君のコガネに…

おじゃがするぜっ!m9(*´ω`*)


♪~おっじゃが

じゃがじゃが~

おじゃがいけ!






続き〓たまこ〓ませんw

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