戦え!! セサミマン
坂本 光陽
戦え‼ セサミマン
ヒーローになるのが、僕の夢だった。男の子なら珍しくはないだろうが、僕は
いや、正直に言おう。僕は、ヒーローである。世界最強、絶対無敵のヒーロー、その名もセサミマンだ。
え、そんなヒーローは知らない? 初めて聞いたって? それはそうだろう。セサミマンはテレビ番組に登場する、フィクションのヒーローではない。正真正銘のヒーローなのだから。
僕は人知れず、奴らと戦っている。敵はいわゆる悪の組織である。その名もインセクター。奴らの狙いは世界征服、人類から地球の覇権を奪い取ることである。奴らの数は膨大なので、その気になれば、いつでも人類など滅亡させられるはずだ。
奴らは数を頼んで攻撃を仕掛けてくる。一人に対して、場合によっては百体以上で襲いかかってくる。絶対的に不利だし、強大な敵にかなうはずもない。だけど、僕はあきらめない。最後の一人になっても、奴らと戦い続ける。
奴らは
僕がセサミマンに変身して、ゴマ粒サイズになった時、アリの大群が襲いかかってきた。全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れのように。まさに絶体絶命のピンチである。
なに、いざとなれば、必殺技を使うだけのこと。必殺技さえ使えば、絶対に負けることはない。セサミマンならではの必殺技なのだ。
僕はクルリと、アリの大群に背を向けた。前傾姿勢をとり全速力で駆け始める。つまり、一目散に逃げたのだ。
これこそが、セサミマンの必殺技〈逃げの一手〉である。負けなければ、戦いは続く。そのために逃げるのだ。笑わば笑え。文句があるなら、いくらでも言うがいい。
最後にもう一つ、これで、タイトルの意味がわかっただろうか?
戦え!! セサミマン 坂本 光陽 @GLSFLS23
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