第21話 夜

 そして私たちは冷静に少しずつ、罠を警戒しながら進んでいく。

 あまり進みすぎると、孤立してしまう。

 皆で仲良く進んでいく。

 その時間はメイリスと会話することにした。


「ねえ、メイリス。……この戦争勝てると思う?」

「そうね、アルセイド様の実力は高い。普通に考えれば勝てると思うわ。でも、今アルセイド様が倒した、敵の中小ダグラスは、そこまで位のある武将じゃない、奴ら最強の六人将に比べたら。それらは一人一人が一時期最強を知らしめたアルセイド様に匹敵すると自認するほどの実力者よ」


 一時期最強。……ご主人様は変態だけど、でもくらいはあるんだね。


 そして、二時間の行軍。

 私の体力が持つわけがない。


「ねえ、メイリス」

「何? ニナ」

「疲れた。暇」

「暇なのはいつもじゃない」

「今日は別だよ」


 馬の上にただただ揺られる。歩はゆっくりだからまだましだけど、でも、馬が揺れるたび。痛みが生じる。

 この痛みがかなりきつい。

 拘束されてる状態だという事で、足もいたいし、良いことが何もない。


「帰りたい」


 あんな地獄の家だとしてもね。


「仕方ないよ。あと数日待ってね」

「無理だよ……」


 そして、暫く進んだ場所でいったん休憩を取ることとなった。


 この場所は。影下に入る前の場所であり、ここを過ぎると罠のある可能性のある場所になる。

 敢えて攻め込んでもいいのだが、とりあえずは相手の出方をうかがうという事らしい。


 そして、簡易的なテントに寝る。

 だが、何を考えているのか、私はご主人様の部屋ではなく、ざったねの場所に送られた。


 つまり一兵卒がいる部屋だ。


「ねえねえ、ニナっていうんだよなあ」


 ああ、戦場では頼もしく思っていたが、こうしてみると、変態の目をしている。


 私を襲ってもおかしくない……いや、それはない。

 だって、この人たちは私たちを守ろうとしている。それに、にすじゃるぶm私を襲おうともすれば周りの人たちが私を守ってくれるだろう。


 とはいえ、あの人の考えていることが本当に分からない。だtぅて、私を占領したいんじゃないの?


 兵士の士気を高めるため?

 全く持って分からない。


「ねえ、みんな、ご主人様――アルセイド様に対してはどう思ってるの?」


 私はくずだと思ってるけど。


「英雄だろ。他国のだけどな。だって、あのキリオウガの戦いで、敵の兵士を尽くうち滅ぼしたんだ。

 その時列強として名をはせていたのだサルタン帝国の兵士たちを」

「へー」


 サルタン帝国はメイリスに教えてもらったことがある。

 当時この大陸の半分の領土を誇る大帝国だったが、あのキリオウガの戦いで負けたことによって国土の三分の一が削り取られ、しかも弱ったところを様々な国に奪われ、今では衰退の一途をたどっている。


「まあでも、所詮あの時は別の国だった。だから詳しいことは知らねえんだけどな。だけど、ずっとみんなから畏怖尊敬の念を抱かれてたんだから」

「なるほど」


 だからあんなに盛り上がってたんだ。

 でも、私にはすごいだなんて一切思わない。

 だって、変態だもん。


「それより、しんどくないんですか? そんな拘束されたっままで」

「しんどいよ。しんどいに決まってるじゃん。だって、移動時も、食事の時も、睡眠時も拘束されるんだよ? そんな地獄は無いと思うけど」


 おっと、思わず怒りをぶつけてしまった。

 この人たちはご主人様とは関係がないのに。


「私から言わせてもらうと、あの人は決して聖人なんかじゃない。ただの、クズよ」


 長年一世に暮らしてきた私なら言えるのだ。

 その瞬間周りのみんなの空気が押し黙った。

 でも、空気が読めないと言われたって、これは私がまさに今思ってることなのだから。



「そうだな。君は地獄のような来る意味を体験してると言える。それも俺たちが経験したことがないくらいの。でも、俺からは一つだけ言わせてもらいたい。……俺は、君の姿が憧れだ。手足を縛られながら馬に乗り、俺たちを導いてくれる。それも凛とした感じで。俺たちは君に救われてきたんだ」


 いやいや、凛としてない。私はただ、地獄のような雰囲気に表情が間に合ってなかっただけだ。

 今まで刺激がそこまでなかった私にとって、今の状況はまさに刺激オーバーだ。


「とりあえず私は……それが本当に分からない。でも、私がみんなの力になってるのならそれそれは嬉しい事だと思う。とりあえず、私は死なないのと、発情しなければ別に胃から」

「発情はしてますよ」

「え」


 そんな堂々と言われると思ってなかったんだけど。


「そりゃ、拘束された美少女なんて、発情しないわけがない。でも、それを戦争は違う。君に発情するからこそ、俺たちは君を守りたいと思うんだ。要するに、君は戦場の女神なんだ」

「……なんか嫌だ」


 堂々と発情してるって言われたらこのアbを離れたくなる。でも、両手両足が拘束されている中、この場を自分一人で離れる方法はない。

 何か急に怖くなってきた。


「俺たちの勝利目的は君を守ることだ。そして、君には笑顔になってほしい」

「それだったら、私は拘束されてる今、真の意味で笑顔に離れないんだけど」


 私の自由を妨げるこの寮の手かせがあるなら。


「なら戦争に勝って、俺たちが直ダンバンしましょう。それを法相として直訴するんです。アルセイド様おそこまで酷な方ではないでしょうから」

「ええ、そうね」


 そして私は彼らに連れられ、ご主人様の元へと言った。


「――という訳で戦争に勝ったら彼女の拘束を外していただけないでしょうか」

「だめだ」


 区食い気味に断られた。

 私には最初からこうなることは予想がついていた。


「なんでですかあ」

「そりゃそうだろ。俺はニナに色々としたいことがあるんだ。それに俺はニナの主人であり、ニナは俺のものだ。だったら何をしてもいいだろう」


 なんという暴論、無茶苦茶すぎる。


「だから引き下がれ。俺が多めに見てやるのも一度だけだ。これから先食い下がることがあればどうなるかわかってるだろうな? 俺には権限があるんだ。……お前たちを難癖付けて処刑する権利が」


 要するに逃走兵だと偽装して殺害という事だろう。相変わらずクズだ。


 そして、元のキャンプに戻ったのち、


「ね、分かったでしょ? あの人は人間のくずなの」


 むしろ私のこの行動が、士気に影響を及ぼす最悪の好意の可能性もある。


「だ丈夫です。俺たちはニナさんの味方ですから」

「あ、そうなの」


 なんだかもうわからなくなってきちゃった。

 とりあえず考えるのをやめよう。

 もう、時間が経つのを待とう。

 もう疲れちゃった。

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ご主人様に愛される拘束奴隷 有原優 @yurihara12

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