我たかし。プロニートなり。

聖羅 

三分以内にやるべきこと

ニートである俺には三分以内にやらなければならないことがあった。


普段は昼過ぎに起きるのが当たり前で、父親や母親によって一度家から追い出されそうになったこともある俺だが、あの日から変わらざるを得なくなった。


そう妹の存在である。あの妹は、少なくとも一日に一度は俺の部屋にやって来るのだ。そして俺の部屋を掃除したうえで、掃除をしていないと俺に説教をしてくるのだ。


確かに俺の部屋は少なくともきれいとは言えないような有り様だが、どこに何があるのかは覚えているのだ。それを勝手に掃除してほしくはない。


説教なんてされたくはなかった。

だから俺は妹に説教されないためにも、自分から部屋を片付けることにしたのだ。


正直この散らかっているままの部屋でも俺自身問題ないとは思っているが、あの妹のことだ。散らかっていたらそれを追及してくるだろう。


そうならないためにも俺はなるべく早く起きるように心がけていたのだが…そううまくはいかなかった。現在の時刻は12:27である。妹が掃除をしに部屋を訪れるまで後三分しかない。


俺はそのことを理解した途端に、すごく冷静になった。そしてすぐに立ち上がって自分の部屋に散らかっているゴミを集めて、ゴミ箱に捨てていった。


ゴミ箱はすぐに満杯になり、捨てることが出来る場所がなくなった。しかし、こんな事もあろうかとゴミ袋を用意しておいたのだ。


ゴミ袋の中身も段々と一杯になっていったが、まだ余裕がある。他にも机の上に置いてあるペットボトルや、お菓子のゴミを中に詰めていった。


そして全てを片付け終わった俺は集めたゴミ全てをまとめた後、廊下に出てこっそりと外にあるゴミ箱へと捨てていった。


部屋に戻ると、部屋の中央で妹がキョロキョロと周囲を見渡しながら立っていた。妹は何かを喋っているようだ。


「あ〜あ…お兄ちゃんの部屋に行く口実が無くなっちゃったじゃん。いつもなら起きてくるのもっと遅いのに。どうしたんだろ。」

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