すごいものを読んだな、と読後にしばらく打ち震えていました。
まずは冒頭で提示される状況。『三分間でドライカレーを作り、その間に犯人を見つけられなければ殺される』というもの。
「え!? どういう状況!?」と度胆を抜かれます。こんなの目にしちゃったら、もう読むっきゃないです。
そして、その後の展開がまた秀逸でした。主人公の『キュービー』は兄が殺された事件を気にかけつつ、『ある料理番組』に出演します。もちろん元ネタは有名な『アレ』に違いないので、キュービーの姿はアリアリと頭に浮かんできて、それだけで笑えてきます。
そこからはひたすらスピード感あり、ダイナミックさあり、それでいて童話的なファンタジック感もありと、色々な楽しさに満ちていました。
ミステリーとしてもちゃんと『料理』と『推理』が絡めてあり、『真犯人』の存在や動機(?)もしっかりと筋が通っているのが凄いです
『三分間』という時間経過が刻々と描かれる感覚や、その中で『キュービー』がアクロバティックな動きを披露しまくる姿。強烈なインパクトや迫力に満ちていて、絵を想像すると笑わずにいられない場面の連続でした。
短い中に様々な魅力が凝縮された一作。掘り出し物です。