KAC20241 ネギには三分以内に…
真留女
ネギには三分以内に…
ネギには三分以内にやらなければならないことがあった
ほら! みな起きなはれや いよいよわしらの番が来たんやで
工場出てから何か月やろか 山ン中工場長やら馬ン場おばちゃんに
見送られて 沢山の仲間たちと分散して… あの日は空が青かった
「見える訳ないだろが!」
おお 起きたかタマゴ もうすぐ湯ぅが沸くで お前
あの丸くなってふて寝したまんま 硬とう ちべとうなってるエビ
起こしたってくれ わしは謎肉探しに行くからな
「なんで おれがそんな事しなきゃなんねえんだよ
えらっそうに指図すんなよネギ お前がやったらいいだろが」
すまんすまん お前をあごで使ってるように聞こえたらすまん
ただ時間がないねん ちょっと手伝ってくれや
謎肉が足らんねん どこ行ったんか もう一度探してくるから
エビの事頼むわ 助けると思ってな
おお謎肉 なんで麺の隙間に落ちてんねん ほら上がっておいで
あああ そんなとこに落ちるから 角欠けてるやないか
えっ? ふとしたはずみではまったら抜けんようになったってか?
そんなこと あるねんなあ
大丈夫か? 目ぇ覚めたか? ここはあんたがキモやねんから
しゃんとしてもらわんとどうもならんのや
痛っ! タマゴっ なんで蹴るねん?
うんうん お前も大切なんやで 何と言っても色がきれいしな
そやけど わしやらお前は 他にも色々活躍の場があるけど
謎肉はどっこにも行かれへんねん ここでパッとせんかったらしまいや
哀れと思って ここは譲って顔立てたってぇな
あっあっ 謎肉すねたらアカン ふんふん 哀れいうたんはわしが悪かった
あんたのおらんカップ麵なんて カップ麵やない
この通りや 謝るさかい機嫌直してんか 時間がないねん
おい タマゴ! エビは起きたんか?
ほらほら もうお湯が入ってきたがな
みんな 大きく吸って~ 吐いて
はいもう一度 大きく吸って~ 吐いて
しっかりお湯吸うて 芯まで柔らこうならなあかんで
麺が硬かったら 主さんはもうちょっと待ってくれるけど
お前ら芯が硬かったら ペッと吐き捨てられて終わりやで
心を込めて 吸って~ 吸って~ 吸って~
もうすぐ三分やで
おお おお みんなふっくらとして美味しそうになったな
わし? わしはあんまり変わり映えせんけどな
ええねん ええねん みんなが主さんに喜んでもらえたら
あっ 謎肉が行ったで タマゴもがんばりや!
エビ やっと目え覚めたんか?
お前は海のお姫様やねんから ええ仕事しといでや
おお 主さんスープも飲み干して
えっ! 主さん わし! わし! まだおりまっせ!
カップの壁に張り付いてまっせ まだ捨てんといて!
お願いやから …あああ~っ
コ
ン
KAC20241 ネギには三分以内に… 真留女 @matome_05
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