悲しみの果て
まあ
第1話 はじまり
2029年12月
自給自足の生活をし始めて、はや3年が経つ
ここは兵庫県の能勢町からもう少し篠山の方へ北に上った山間(やまあい)にある何も無いところ
あるのは山と川と3年の歳月でここまで肥やした俺の畑くらい
県道からも少し外れている為、昼間でもほとんど車も人も通らない
冗談抜きで鹿やイノシシを見る方が人を見つけるよりもよっぽど早い
【カタッ(薪をくべる音)】
薪ストーブで暖を取る
俺の家は電気が無い、
通っていないのではなく、使っていない
電気に頼らずに生活をしている
こんな生活を始めたきっかけは脱サラみたいなノリだ
元々、大阪の売れないミュージシャンだった俺がたまたま宝くじで2000万円を当てて夢を追うのをやめ、ここに土地と必要な道具、材料だけを買い住み始めた
音楽をやっていた頃は、
パソコン、タブレット、スマホを巧みに扱い、
流行りのSNSはほぼ全て網羅し配信活動にも勤しんでいた
フォロワー数も1万人以上いたり、
毎日、写真をUPしてはフォロワーがコメントをくれて賑わっていた
親には感謝してる、見た目が良かったから異性にはよくモテた
日替わりの様に女の子も口説いた
ミュージシャンとしては大成しなかったけど、それはそれでハタから見たら充実した人生に見えていただろう
元々、正確も根アカで社交性にも富んだ性格だったんだが・・・
いつからか心が壊れた
大金を手に入れた俺が最初に思ったのが
「ぜんぶや~めた」だった。
今は最高だ
誰に何を言われるでもなく自由気ままに暮らしている
山に行けば栗が落ちていたり、川に行けばアマゴやヤマメが獲れて、
食べたい野菜は畑で作る。
たまに県道を少し車で走り買い物に行ったりもするが、
月に1回行くくらい
テレビも電話もインターネットも何も無い
音が欲しかったら自分でギターを弾いて歌うだけ
こんな感じでね
【スっとアコースティックギターを手に取り】
じゃーん♪
♪♪♪♪♪♪♪
悲しみの果て まあ @maa0424
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