3分の激闘

深川我無@「邪祓師の腹痛さん」書籍化!

3分間の激闘

 さくらには三分以内にやらなければならないことがあった。

 

 画面を睨みつけ、ラップトップのキーボードで一心不乱にコードを入力する。


 その背後では眼鏡こと黒澤が、迫りくる中毒者ジャンキー達を切り払っていた。


「お嬢!! 急いでくだせえ!! どんどん集まってきやす!!」


「うるさい!! 黙ってて!!」


 少し離れた場所では機械化腕サイバネアームを背中から生やした大男と、金ちゃんが死闘を演じている。


 大男の振り回す八角棍を、金ちゃんは刀で捌きながら勝機を探っているようだった。


 早くドアのロックを開けないと…


 そんな雑念を払い除け、さくらは電子の海に身体を浸す。


 すると周囲を取り巻く激しい戦闘音は遠ざかり、延々と続く白だけの世界が訪れる。


 さくらの周囲に、ドアロックのセキュリティプログラムが渦を巻いた。


 緑色の文字列の中から、さくらは使えるものと不要なものを選り分けていく。


 やがてシステムの脆弱性が浮かび上がると、さくらはそこに付け込んで、新たなコードを上書きしていった。


 「よし……!! この管理者権限は使える!! このロックの指紋認証システムには隙があるよ!」


「あっしには分かりかねるので早く…!」


 黒澤は白木拵えの太刀で居合を放って言う。


 そこから素早く連撃に繫げて敵を退けては、後ろに飛び退いて再び刀を鞘に仕舞う。


 踏み込んだ最初の六人に待つ


 それはナノドラッグで我を忘れた中毒者達に、生と死を思い出させるのに十分だった。


 しかし、それは中毒者達に知能をも呼び覚ます。


 彼らはチラリと周りに目をやり、無言で人数を数え始めた。


 六人死ぬなら…


 七人目は…?


 どうやら中毒者達は七分の六が死ぬ無謀なロシアンルーレットに興ずることを決めたらしい。


 それを察した黒澤は、鞘から刀を引き抜いて前列の敵を片っ端から切り捨てていく。


 七人以上…

 

 敵が前列に揃う前に…殺す…!!


 


「新しい利用者の追加枠を作って……わたしの指紋を登録すれば……よし…!! 黒ちゃん!! 開いたよ!!」


「流石お嬢!! あとはそこであねさんが来るまで大人しく待っててくだせぇ…!!」


 さくらは大男と戦う金ちゃんに目をやった。


 着物の裾から突き出した生脚には未処理のスネ毛をそのままに……


 紫のアイシャドウの奥で、死闘を演じる者には不釣り合いな妖しい笑みを浮かべる漢女侍オカマザムライ……。

 

 何故金ちゃんが漢女侍オカマザムライに成るに至ったのかさくらは知らない。


 わかっているのは、金ちゃんは粗野なくせに上品で、頭がおかしいくせに優しくて、お節介な性格が最高にムカつくということ。



 そして、誰よりも強く、迷いなく、己の武士道を貫くということ。


 そんなことを思いながら、さくらは戦いの行方を静かに見守るのだった。



⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔⚔


ここまでお読み頂き、誠に感謝仕り候…!

これは黄金魂の中で巻き起こる、激しい戦いの一幕にて御座候。


黄金魂〜ゴールデン・スピリッツ〜

本編が気になったそこ御仁…!!

べっぴんさんに色男…!!


是非ともリンクをクリック下さり

黄金色の魂の輝き、その目にしかと焼き付けて…おくんなまし〜!!


https://kakuyomu.jp/works/16818023212771832265

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

3分の激闘 深川我無@「邪祓師の腹痛さん」書籍化! @mumusha

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ