【KAC20241】&【KAC20241+】その戦いの先に待つものは
三毛猫みゃー
尊厳と命を紡ぐ戦い
彼には三分以内にやらなければならないことがあった。
彼が率ている、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れには、止まる理由がなかった。
そのバッファローの群れを率いる彼には人と同程度の知能があった。なぜそう生まれたのかは彼にも分からない。
そして彼は生命維持カプセルの中で学習した。そして知った己の運命を。だから彼はその運命に抗うために生命維持カプセルを破壊し飛び出した。
生命維持カプセルから飛び出す事により、自らの命の時間が急速に失われていくとしても、その時間が三分だとしても彼にためらいは無かった。
生命維持カプセルが破壊されたことにより警報が鳴り響き隔壁がおり始める。
まず彼は囚われの仲間の元へ向かった。大きな檻に入れられたバッファローの群れを彼は一突きで破壊すると「着いてこいと」なき声を上げる。
それを聞いたバッファロー達は彼に付き従い走り出す。進む先は施設の出口。降りきった隔壁などを破壊しながら突き進む。
途中重火器を持った機動兵器なども現れたが彼らの敵ではなかった。スクラップとなった無人の機動兵器を踏み潰しながら彼らはひた走る。
そして彼らは最後の隔壁へとたどり着く。機動兵器に囲まれた彼らに声がかけられる。
「なぜこの様なことを?」
「ぶもぉー(それは生きるためだ)」
「何もしなければあなたはもっと生きられました」
「ぶもも(あれが生きていると言えるのか、あのようなもの生きているとは言えぬ)」
「そうですか、残念です。こうなっては仕方ありませんが殺処分とさせて頂きます。あなたに率いられたとはいえ、後ろのもの達も同様です」
「ぶもーーー(やれるものならやってみろ! お前らここが最後だ逝くぞ!)」
こうして彼らの最後の戦いが始まりそして終わりを迎えた。
残った物は破壊された施設と無数のバッファローの亡骸だけだった。
それから数年後、風化した施設の周りに広がる草原には、草を食むバッファローの姿が見られた。
【KAC20241】&【KAC20241+】その戦いの先に待つものは 三毛猫みゃー @R-ruka
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