嫌いになった
かにかま
0話
新しい煙草を買いにコンビニへ。天気予報士は嘘をついたようだ。すぐそこの家まで傘を取りに帰るのすら面倒だった。
道端の猫、黄色の点滅だけの信号機、叫ぶ若者たち。どれか今の自分に近いものはないかと安心感を求めながらただ歩く深夜2時。
細い路地に入り誰もいなくなった。こうなると気分が急激に落ちてしまう。普段のこととか、誰にも迷惑をかけていないはずなのに全てをマイナスに捉えて自分を苦しめていく。
1週間ほど前にはなかった感情が続く。以前は夜が好きで、行く先も決めずに散歩していたし負の感情はあまり湧いていなかった。
咀嚼音、ショートケーキの苺を潰していく18になった夜。父さんの身長を追い越した時の何かが空白になったような気分。大人にはなりたくなかったのに。
願っていた雨は降らなかったし朝焼けも綺麗ではなかった。ただ自分は浅い海でずっと泳いでいるだけの人間に近い何か。
もう少しであの子のところ行けると言うのに、まだ潜っていたい。
タバコに火をつける。求めていた安心感よりは小さいがそれで満足していた。煙と君は同じ。
夜が嫌いになった。
嫌いになった かにかま @iooon
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