第19話
私と婚約してから不幸が連続して起こったのなら、私が疑われるまでに時間はかからなかった。
けれど、彼の中にはいまひとつ確信がなかった様子。
それを今、私からプレゼントして差し上げましょう。
「…私は、あなたがかつて処刑したミレーナなのですよ?」
「ひっ!?」
やっぱり、心当たりがあったらしいですね。
その思いに答え合わせをして差し上げましょう。
…もう絶望しかないことでしょうけれど。
「ほ、ほんとは好きだったんだ…!し、信じてほしい…!ああするしかない雰囲気があっただけなんだ…!!」
そんなことがあるはずがない、と言ってこないあたり、どこかクレアがミレーナと重なるところがあったのでしょう。
「…さぁ、もっともっと愛し合いましょう?どうして逃げるのですか?あなたから持ち掛けてきた関係でしょう?」
「っ!?」
「次はどうしますか?誰に消えてほしいですか?それともあなた自身がその晩になりたいですか?」
――――
「…ミレーナ様に続き、ジーク伯爵様まで失踪…。いったい何が起こっているのか…」
理解しがたい状況が連続で起こり、頭を抱えるシュルツ。
が、その表情はそれまでの暗いものではなかった。
「…クレア様、やっぱりミレーナに似てたよな…。ふるまいというか、雰囲気というか…」
周囲を不幸せにするという特性を持つ以上、クレアはジークを追い出して以降はふさぎ込みつつあった。
しかしそこから脱することができるまでに、長い時間はかからないことだろう。
真に彼女の心を見抜いている人物は、彼女が最も心惹かれる人物なのだから。
婚約者である私の事を処刑しておいて、今になってやっぱり私の事が好きだと? 大舟 @Daisen0926
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