第18話
私が彼に返す言葉は、もう決まっている。
「ジーク様、私の事をずっと、ずっとここにおいてはいただけませんか?」
彼はその表情を赤くして、私の事を驚きの表情で見つめた。
「そ、それはつまり…!!この僕との関係を…!!」
「はい、その通りでございます。私はずっとずっと、ジーク様のことをお慕いしていたのですから」
「!!!!」
それから先は、赤子の手をひねるほどに簡単な作業だった。
――――
それから時間が経つたび、私とジーク様との距離が縮まるたびに、彼の周りでは不幸な出来事が連続して起こった。
「お、おいおい…!お前までいなくなったら、僕を支えてくれる人間がいなくなるじゃないか…!!」
「し、仕方ないだろう…。だから言ったんだ…。あんな魔女の血を引く女は、もっとはやくに始末しておくべきだと…」
なにか悪いことがあれば、いまだに私のせいにされる。
それを始めたのはほかでもない、あなたたちのほうなのにね。
――――
「ジーク様、もっともっと私の事を知っていただきたいのです…!」
「そ、それはどういう意味だろうか…!?ぼ、僕はこれでも婚約者を持つ身だから、これ以上君との距離を縮めてしまったら…!!」
言葉でこそそう言うけれど、間違いなく期待している様子。
私たちの間にあった愛を壊したのはあなたの方からだけれど、もう覚えてもいないのでしょうね。
これからたくさん思い出させて差し上げましょう。
「さぁ、おいでくださいジーク様…。もっともっと愛し合いましょう…♪」
――――
魔女の血を引く人間、それはいったいどちらの事だったのでしょうね。
あなたの周りの人々が毎日のように倒れていって、あなたが大切にしているものが毎日のように壊れていって、でもそれを誘発したのはあなたたち自身からであって。
「い、いったい何が起こっているのかわからないんだ…。ク、クレア…。君との愛情は絶対に守り通したいと思っているんだけれど…。でもこれ以上は、もう…」
さぁ、どうするのですか?あなたが私を切り捨てたことから始まったこの物語、いったいどう決着をつけてくださるのですか?
もうすべて手遅れなのですよ?だってあなたへのあいはもう前の命で、終わったのですから。
それを終わらせたのはあなたの方なのですから。
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