黒歴史になりかけた運転中の事件
武藤勇城
↓本編はこちらです↓
黒歴史になりかけた運転中の事件
これは自分が二十代の頃の話です。運転免許を取って、それほどの時間が経っておらず、まだ若葉マークを付けていたと思います。
近場に車で出掛けた帰り道でした。外はまだ明るく、午後三時か四時頃だったでしょうか。その通りは片側一車線ですが、道幅が広く、見通しも良かったと思います。広い歩道と広い車道の間には街路樹が植えてあり、運転手からは歩行者が見えにくかったかも知れません。
広い、けれども信号のない横断歩道がありました。T字路で、突き当りには大学の敷地があります。昼間でも割と多くの人、学生などが歩いていて、学生向けのお店や塾などが、ぽつぽつと建っているような場所です。
若葉マークの自分は、法定速度を守って運転をしていました。横断歩道のかなり手前から、街路樹脇で左右を見回し、車の切れ目で渡ろうとする家族の姿が見えていました。だから横断歩道のだいぶ手前から減速し、停車位置で止まって、親子が渡れるように左手で「どうぞ」というジェスチャーをしてみせました。
親子はペコリと一つお辞儀をすると、一歩二歩、横断歩道を渡りかけました。その時です。高速道路を走っているかのような物凄い勢いで、停まった自分の車を追い越していく一台の車がありました。自分は呆気に取られて、「は?」という口を開けたまま、走り去っていく車を見送りました。「何だアイツ、危ねえな」と口走ったかも知れません。
横断歩道を渡りかけていた親子も、「ビックリした」といった表情でした。間違いなく速度超過をしていましたし、横断歩道を渡ろうとする人もいて、何より自分の車がそこで停まっているのに……幾つの交通違反をしていたでしょうか。
一歩間違えば大事故になっていたと思います。実際、このような形で横断歩道を渡る歩行者をはねてしまうといった事故も多くあります。もし目の前で、そんな事故を目撃していたらと思うと、ぞっとします。まさしく記憶から抹消したい、思い出したくもない黒歴史になっていたでしょう。
幸い事故は起きませんでしたが、恐ろしい体験でした。皆様も車の運転をする際は、無茶な、無謀な、無理な運転は決してなさいませんよう、ご留意下さい。
黒歴史になりかけた運転中の事件 武藤勇城 @k-d-k-w-yoro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます