第9話 正義の力

 奇兵隊の本拠地、赤間神宮(山口県下関市)

で聖武天皇と奇兵隊が対峙していた。赤間神宮は、源平最後の合戦『壇ノ浦の戦い』で亡くなった安徳天皇を祀る社。 ·

「奇兵隊よ、我が国を倒そうとするのか?」

「天皇陛下、我らは国を倒すつもりはありません。ただ、国の運命を変えんとするのみです」と、赤禰武人。

「そうか。では、なぜ我が国を動かさんとする?」

 聖武天皇は声高に言った。

「天皇陛下、貴殿の政策は民衆に苦痛を与えています。我々は民のために戦うのです」と、入江九一。

 天保8年(1837年)4月5日、長州藩の足軽である入江嘉伝次・満智(村上与三右衛門の長女)夫妻の長男として生まれた。弟に野村靖(和作)、妹に伊藤すみ子(伊藤博文の最初の妻)がいる。妻は九一の父の同僚である堀音右衛門の娘・粂。


 安政3年(1856年)に父が死去し、家督を継いだ。安政4年(1857年)に弟の和作が吉田松陰の松下村塾に入塾するが、九一は家計を支えるべき立場であるため通う暇を作れず、安政5年(1858年)になって遅れて入門した。同年12月に松陰は再投獄されるため、実際に学んだのは1ヶ月程度に過ぎないが、松陰から高く評価され久坂玄瑞、高杉晋作、吉田稔麿と並んで松門四天王の一人に数えられた。


 同年、師匠の松陰が江戸幕府の無勅許による日米修好通商条約締結に激怒し倒幕を表明して老中の間部詮勝暗殺計画を企んだ。この時、高杉・久坂・稔麿らは猛反対したが、九一・和作兄弟だけは賛成し計画に加担。その際に松陰から「久坂君たちは優秀だが、度胸が無い。しかし君だけは国のために死ねる男児である」と高く評価されている。そのため、後に松陰が安政の大獄で処刑された後も、九一は師匠の遺志を受け継いで間部詮勝暗殺計画を実行に移そうとしている。


 同年、伏見にて藩主を拉致して朝廷に誘導し、強引に攘夷を宣言させるという奇策「伏見要駕策」を獄中で思いついた松陰は、無謀な策に反対する久坂玄瑞、高杉晋作ら殆どの門下生に破門状を出し、入江兄弟に実行の指示を出すが、藩に察知されて弟と共に岩倉獄に投獄された。これにより入江家は困窮し、九一は獄中で内職を行って家計を助けた。


 松陰の処刑から半年後、兄弟も万延元年(1860年)に釈放され、文久3年(1863年)には吉田稔麿らと共に足軽から士分に取り立てられたが、無給の士分という扱いであり、家計の苦しさに変化はなかった。京都で尊皇攘夷のための活動を行なう一方で高杉の奇兵隊創設にも協力し、奇兵隊の参謀となった。同年の下関戦争には久坂の率いる光明寺党の一員として参加した。


 翌元治元年(1864年)7月19日、禁門の変では久坂の率いる浪人隊の一員として天王山に布陣し、御所攻撃に参加したが敗れて久坂は自刃。久坂に藩主世子への伝言を頼まれた九一は何とか脱出しようと図ったが、塀を越えたところで越前兵の槍を顔面に受けて死亡。享年28。


 首級は福井藩士が松平春嶽に許可を得、同様の戦死者8名と共に福井藩の京の菩提寺である上善寺に手厚く葬られた。その後長らく長州藩側に忘れられていたが、旧福井藩士が毛利家に連絡した事をきっかけに、明治30年代に碑石が修築された。


「民のために?愚かな。我が政策は国の繁栄のためなのだ」

 赤禰武人は聖武天皇の顔が天狗に思えてきた。

「しかし、それは一部の者の繁栄にすぎません。多くの人々が犠牲になっています」

 入江九一は高杉の死に顔を思い出し、嗚咽を堪えた。


 清水寺の広い境内。朝の静けさが残る中、永倉新八と高杉晋作が向かい合って立っている。周囲には静寂が漂い、木々の葉がそよ風に揺れる。


 永倉新八:「晋作、ここまできたか」


 高杉晋作:「新八、お前もなかなかだ」


 2人の目は相手を通り過ぎ、奥にある清水の流れを見つめている。それぞれの信念が胸に秘められている。


永倉新八:「これが最後の戦いだ」


高杉晋作:「そうだな。どちらかが生き残るわけにはいかない」


彼らの間には過去の絆がありながら、今は敵同士として立ち向かう覚悟を決めている。


突然、鳥のさえずりが響き、その響きが境内に広がる。時間が止まったかのような瞬間、2人の目が合う。


永倉新八:「行くぞ!」


高杉晋作:「来い!」


2人は激しく刀を交える。その刃は空気を切り裂き、清水寺の境内に響く。


激しい戦いの中、2人の心は交錯し、過去と未来が交差する。そして、最後には2人の刀が交わり、清水の水に映る月の光がその姿を照らす。


永倉新八と高杉晋作、2人の戦いは終わりを告げた。彼らの意志と誇りが、清水寺の境内に静かに息づいている。


「お前らの言葉に感動させられるつもりか?愚かなる者どもよ、我が権威を知れ!」

「天皇陛下、我々は民のために戦います。貴様の権威ではなく、正義のために」

 赤禰武人の内側は怒りのために煮えたぎっていた。

「貴様ら、我が前にひれ伏せ!我が力を見せつけよう!」

 奇兵隊の隊員たちは固く立ち向かう。

「我々は貴様の権力にひれ伏さない。正義が勝つ時、天皇よりも大きな力があることを知るがいい!」

 赤禰武人が鞘から刀を抜いた。

 戦いが始まる。奇兵隊は機敏に天皇軍と戦う。

「天皇陛下、これが正義の力だ!」

 赤禰武人が血の色に染まった西の空に向かって叫んだ。

 戦いの音が響く。


 戦いの舞台は奇兵隊の本拠地から聖武天皇の宮殿に移った。聖武天皇は呪文を倡えると、場所を自由自在に変えることが出来た。

 島は氷の結晶を操り、冷たい風を巻き起こす。一方、山村は炎の輝きを持ち、山々を焼き尽くす力を持っていた。


 彼らは時空シールを使い、聖武天皇の宮殿の前に姿を現した。夜空には満月が輝き、その光が魔法の戦いを照らしている。

 聖武天皇は驚きを隠せなかったが、彼の心は揺るがなかった。彼は自らの力を信じ、立ち向かう覚悟を持っていた。


 島は、凍りつくような冷たい風を吹き、宮殿を覆い尽くす。寒さが聖武天皇の肌を突き刺し、彼の息が白く凍りつく。

 山村は、燃え盛る炎を放ち、宮殿を包み込む。炎が燃え上がり、熱気が聖武天皇を包み込む。

 聖武天皇は時空シールを解き放ち、その力を制御しようとしたが、彼の力は島の氷魔法と山村の炎魔法の間で挟まれ、制御不能な状態に陥った。


 島と山村は力を合わせ、聖武天皇を倒すために最後の攻撃を放った。宮殿の周りに魔法の光が満ち、その光景はまるで天地がひっくり返るかのようだった。


 そして、その光の中から聖武天皇の姿が消えた。彼の力は氷と炎に飲み込まれ、その運命は封印された。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

時空シール7 鷹山トシキ @1982

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る