静かな導入から、雰囲気の盛り上げ、クライマックス、オチ、そして随所にみられる不可解なトリック。最初から最後まで一切隙がなく、実にしっかりと作り込まれていました。お見事、これぞまさに現代の怪談といった感じです。
ありきたりな物をそうは見せない技量と言ったら語弊があるかもしれませんが、廃屋の民家に関する詳細な描写はそんじょそこらの素人に描けるものではないように感じました。畳の匂いや、軋む床までしっかりと語り尽くして雰囲気を盛り上げる。ホラーでありながらおかしな話だと感じるかもしれませんが、全身全霊で読者を「もてなそうとする」気遣いが、そこからは確かに感じられたのです。
高い技量で描かれた怪談がはたしてどんなものか。
興味がある方は是非!