余談

 飼い猫わらびは多分に漏れず、ちゅ〜るが好きだ。


 猫おやつとしてちゅ〜るを初めて与えた日。

 わらびは、取り出した細長いパッケージと「ちゅ〜る」という言葉に反応した。


 えっ、今まであげたことないのに!?

 CMにだって、反応しないのに!?


 細長いパッケージと「ちゅ〜る」という言葉が組み合わさった瞬間、わらびはCMの猫のように、あるいはSNS上の猫のように突進してきた。


 早くくれ、いいからくれ、ソレが食べたいんだ!


 そう言っているかのように必死で鳴いて、催促してきた。


 もしかしたら、保護施設でおやつとして与えられていたのかもしれない。

 物凄い記憶力だ。

 わらびにはじめてちゅ〜るを与えたのは、引き取ってから半年くらい経ってからだったから。


 もし、本当にはじめてであっても、ちゅ〜るの威力は凄い。

 初見の猫を魅了するちゅ〜る。その効果は与えた人間がビビるほど絶大だ。


 今では、少しでも似たパッケージの人間用保存食を棚から出すと、「それ、ちゅ〜るじゃないんですか?」と言うようににゃんにゃん鳴いて、縋りつく。


 なお、わらびがちゅ〜るを食す姿にCMに出演している猫たちのような可愛らしさはなく、牙を剥き出しにした鬼のような形相である。


 わらびに魅了されきっている私の目には、可愛い顔に映っているけれど。



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