行き場を失った者たちの儚い恋愛

最新65話まで読まさせて頂きました。

冴えない人生を送ってきたサラリーマン『高坂弾』はある日、映画館で不思議な女性『雪菜』と出会い、息が合った事から仲を深めていきます。
徐々に弾に想いを寄せる雪菜ですが、彼女の視点で観る彼の姿は、普通の恋愛観とは少し異なる『想い人』でした。
雪菜は今を生きる弾に、数年前に亡くなった恋人にを重ねていました。
その事実を知った弾は、雪菜とお互いの自分自身への“気持ち”を打ち明けながら、二人の恋愛観を共に探していきます。

しかし、両思いの筈である2人には、とある壁が立ち塞がります。
弾の元恋人、『梓』です。

梓もまた、弾に対して特別な恋愛観を持っており、訣別が出来ないでいました。
彼女もまた、行き場がなく彷徨う人間なのです。

そんな3人の三角関係、そして複雑な恋愛が描かれます……。



最新話まで読んだ感想は、一つ一つの描写が丁寧で、話運びが上手いと思いました。
その為、メインヒロインの雪菜と徐々に距離を縮めていく過程が見事でした。

文章も読みやすく、一気読みしやすいかと思います。

キャラもたっており、印象に残ります。
雪菜さんが終始可愛かったですが、中盤からストーリーの進行具合もあり一気に可愛さが増します。

お話に関しては、ポップなモノローグでありつつも、結構ダークなテーマを扱ってると思います。
とてもリアルでした。
その為、このダークなお話を主人公のポップなモノローグがいい具合に中和しているのかなと思います。
暗くなり過ぎないでいるので、良かったです。

あとは物語の背景となる『職場の会社』ですが、これもまたメインディッシュかという程、情景描写が程丁寧だと思います。
在籍している社長、部長クラスのおじさんたちや、同僚、仕事相手の人達。
とてもリアルで、そこに立つ雪菜さんがとても思い浮かびます。
個人的には、これを描き切るのは結構なスキルだと思いました。
直接メインシナリオに関与しないモノの、読んでいて地味に凄いと思いました……。

お二人共幸せになってください。

まだ連載中なので、連載の方頑張ってください!

素敵な小説を読ませて頂きありがとうございました!!





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