【猫の日記念】ミィーちゃんと私(=^・^=)

この美のこ

ミィーちゃんと私(=^・^=)

 このお話は1960年代の私が子供だった頃のお話です。


 私の家には物心ついた時から猫がいました。

その猫は、オスの茶トラ猫でした。

おっとり穏やかで人懐っこく、名前は「ミィーちゃん」です。

なかなかのイケメンでした。

その昔、農耕が盛んだった時代、農作物を食べてしまうネズミや小動物も増えていて、猫はそれを捕食して農作物を守ってくれる役割もありました。

 そんなわけで、ミィーちゃんはたまにネズミを捕ってきては、自慢するように見せに来ていました。

私の親が、「おぉ~、よう捕って来た」と褒めるものだから、得意顔でした(=^・^=)

たぶんね。

私はネズミをくわえたミィーちゃんを見るのは怖かったけど……。


 あの頃のミィーちゃんは、家の中も外も自由に出入りしていて、昼間はどこかにふらりと出かけていき、食事の頃には戻ってきて、夜は私の布団の中で一緒に寝るといったスタイルでした。

食事も今のようにキャットフードではありません。

猫まんまと言って私達が食べた残り物に味噌汁などをかけたご飯でした。

いりこなども食べてました。

そのミィーちゃん、もうすでに高齢だったのか、私が小学1年生の頃、突然いなくなって帰ってくることはありませんでした。

 母曰く「猫は死ぬ姿を人には見せないので、死期が近づいたら、自然にいなくなるんよ」と言っていました。

私は、いつの間にかいなくなったミィーちゃんの事が忘れられませんでした。


 そんなある日の事、私は学校帰りに、小さくて可愛い茶トラの野良猫を見つけました。

その頃は、野良猫が結構、ウロウロしてました。

私が近づくと、怖がることもなく身体を摺り寄せてきます。 

喉を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らして気持ちよさそうにするので、私はすっかり気に入ってしまい、家に連れて帰りました。


 母は連れて帰った猫を見て、「この猫は雌猫だから、赤ちゃんを産んだら、猫が増えて大変だからだめよ」と言いましたが、私がどうしても飼いたいと粘ったので、しぶしぶ承諾してくれました。


 名前は「ミィーちゃん」初代から我が家の猫はみ~んな名前は「ミィーちゃん」です。

オスだってメスだって( ´艸`)

そうそう、その猫はしっぽの先が曲がっていました。

カギしっぽって言うらしいけど、その頃は、しっぽにそんな名がついてるなんて知りませんでした。


 それからは、私は学校に行っている時以外は、いつもミィ―ちゃんと一緒に行動し、いつも一緒に寝ていました。

ミィーちゃんは兎に角、甘えん坊で私の足元に擦り寄ってきたり、膝に乗かってくるので喉をさすってやるとゴロゴロ喉を鳴らして気持ちよさそうにしていました。

猫じゃらしのようなものを目の前で動かしたら、それに反応して動き回る姿も可愛くて、それが嬉しくて私はいつでもミィーちゃんと遊んでいました。


 そんなミィーちゃんですが、やがて段々とお腹が大きくなってきました。

どうやら妊娠してしまったようです。

あの時代は、今のように避妊手術を受けることはなかったので、自然の成り行きでした。

お父さん猫が誰(?)なのかは分かりません。


 その日もいつものように私の布団の中で、ミィ―ちゃんと眠りましたが、朝方、「ミャ~、ミャ~」という鳴き声で目を覚ましました。


なんと、私の布団の中で赤ちゃんを産んでいたのです。


驚いた私はすぐに飛び起きて


「ミィーちゃんの赤ちゃんが産まれたよ」と、興奮して家族みんなに報告しました。


 夜中に、私はぐっすり熟睡していたのでしょうね。

お産が始まってたなんてちっとも気が付きませんでした( ´艸`)

産まれたばかりの子猫が滅茶苦茶可愛くて、母親になったミィ―ちゃんが一生懸命、舐めて身体をきれいにしている姿を、ずっと見つめていました。

ネズミみたいに小さくて、まだ目も見えず、動きもぎこちなくて可愛い。

産まれて来た赤ちゃん猫の中にも一匹だけカギしっぽの猫がいました。

遺伝なのかな。

3匹とも茶トラ猫でした。

父親も茶トラだったのかな。

さぁ、名前をどうするか?

何故か、み~んな名前は「ミィーちゃん」でした( ´艸`)

ちゃんと名前、考えてあげてよ(読者の心の声)

でもね、ずっと我が家の猫は「ミィーちゃん」だったからね。


 親猫ミィ―ちゃんはすっかり、母親猫らしくなって、子猫のミィーちゃん達におっぱいを飲ませていました。

子猫も本能で知っているのですね。

目が見えなくても、母親のお腹を手探り状態で見つけてお乳を飲んでいました。

可愛いったらありゃしない。

いつまで見てても見飽きません。

鳴き声も可愛いんです。

そんな訳で、我が家は一時期、親猫1匹,子猫3匹、計4匹のミィーちゃん猫が住んでいました。


 やがて、子猫たちが大きくなっていくと、母が「全部の猫は、うちでは飼えないよ」と言って、知り合いの家に一匹づつもらわれていきました。

そして、その親猫のミィ―ちゃんも、やがていつも間にか姿を消してしまいました。


 淋しくなった私は、「又猫が飼いたい」と、言っていたら、たまたま、父の知り合いの家に猫が産まれたのでいらないかと言ってきました。

勿論、すぐにもらいました。

今度の猫は、真っ白なオス猫です。

性格はおっとりで、白い毛並みがとっても綺麗でした。

名前も、勿論「ミィ―ちゃん」です。


 しかし、このミィ―ちゃん、ちょっと産まれつき頭が弱かったみたいで、今までの猫はトイレのしつけをしたら、すぐに出来ていたのに、この白猫ミィ―ちゃんは、何度教えても粗相をしてました。

でも、可愛い事には変わりがありません。

私は、今まで通り、いつも一緒に遊んでいつも一緒に寝ていました。


 そんなある日の冬の事です。

私がいつものように学校から家に帰ると、母が目を真っ赤にして泣いたような顔をしていました。

母は悲しそうな顔をして、ミィーちゃんが亡くなったことを告げました。

なんと、ミィ―ちゃんが掘り炬燵こたつの中で、一酸化炭素中毒で亡くなっていたのです。

当時の我が家は掘り炬燵で炭火が燃料だったので、炬燵の中に長時間、顔まですっぽり潜り込んでいると、一酸化炭素中毒になる恐れがありました。


「……」


あまりにも突然の事で私は言葉を失いました。

ミィ―ちゃんは蔵の中で、まるで眠っているようにタオルをかけて横になっていました。

私は、恐る恐るミィ―ちゃんに触ってみると、ビクともしないし、冷たくて硬くなっていました。

私は声を上げて泣きました。

生まれて初めて、死を実感しました。

ショックでした。

ちょっと頭の弱いミィ―ちゃんだったけど、ミィ―ちゃんと過ごした毎日は楽しかった。

楽しいミィーちゃんとの思い出だけがぐるぐると頭を巡っていきました。

こんなに突然、掘り炬燵の中で死んじゃうなんて……。


 それ以来、我が家で猫を飼う事はありませんでした。

猫が大好きな私ですが、その時の事がトラウマとなって、今でも猫を飼うことができない私です。

だけど、ミィーちゃんと過ごした日々はいつまでもいつまでも私の心の中から消えることはありません。

どのミィーちゃんも大好きでした。

私の子供時代を豊かにしてくれました。

今、改めて感謝を込めて言いたい!


ありがとう。ミィーちゃんたち(=^・^=)



近況ノートにミィーちゃんのイメージ画像あります。

https://kakuyomu.jp/users/cocopin/news/16818023214163985973

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