「ウソは真実より優しいの」

青黒い海に飲み込まれている私の頭の中で話し声が聞こえる…。苦しい…。

「!?!?」 過呼吸で夢から覚めた。あのあと夕食を取り、寝る支度をして「乱暴」に布団に潜り込んだのを思い出した。


「クジラの夢に飲み込まれるの」女の人の甘い声が響くクジラの夢の中で、海人のお父さんが釣りをしている。その釣り糸が垂らされたシロップのような海で私は溺れもがいている。私を助けてくれようとしているの?そうか、海人のお父さんが入院したのを聞いたあの時、私の中の眠れる「溺れた感覚」が再び「青黒く」襲ってきたから胸が苦しくなったんだ。そう変に納得していると「でもね、ウソは真実より優しいの」寝ぼけてはいるが、女性の「でもね」の使い方がオカシイ事に疑問を持つくらいの認識だか意識はあった。ただ今は現実と夢の境界線が分からない。とりあえず私の好きな言葉がいくつか出てくる変わった夢だ。


この「ウソは真実より優しい」というフレーズは私が好きな歌に出てくる歌詞の一部だ。

ウソはウソで「あるうち」は目茶苦茶に優しい。でもその裏には「隠そうとする事」や「打算」などという人間が持つマイナスな思惑が内包されている。そしてそれがウソで「なくなった」時、真実よりも更に残酷で冷酷なものになる。それでも優しいものは優しくて、儚くて虚しい。という内容であると私は解釈している。簡略化の術が高度過ぎると感じて、聴くたびに勝手に毎回感動しているのたが、それはそうとして「ウソのほうが優しい」と言える人は「本当の優しさを知っている人だ」なぜだかそう思う。

「ウソって真実より優しいと思う?」って色んな人に聞いてみたい。そしてここまでがその「夢」。


頭の中で思考がずっと回転していて鬱陶しい。そして考えれば考えるほど人間の頭の中が不思議に思えて仕方なく、ますます脳について調べたくなってきた。それはもう科学的に、だ。ついにいてもたってもいられなくなり、脳科学を学ぶ学校やその先の可能性について調べ始める。


私の名前は高橋望。

翌1月1日に20歳になる、どこにでもいる大学2年生の女の子。



続く。

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