第5話 私の回りの小人たち

 「ねえ、何さっきからうーん、うーんうなって、何してるの?」

こう聞いてきたのはシンだった。

「あぁ、小説を書いてるんだよ」

私はやや単調にこう言った。

「えぇ!そうだったの!?てっきりいつも通り難しいことを考えているのかと」

シンは少し笑いながら私にこう言った。私は考えることが公務なのだからいつも考えていてもおかしくはないだろう。

「ならさ、できあがったら私が最初に審査してあげる!賞をとれるかどうかをね!」

「お前は何様だ」

私は少し笑いながらそう言った。私は正直シンにこう言ってもらえて少しうれしかった。私の書いたものを読んでくれる人がいる。それだけでも十分なやる気へとつながった。シンはいつも人の嬉しがることを言ってくれるという長所がある。やはり一番公務が多い小人のなかの一人なだけある。そこにここの話を聞きつけたコイがやってきた。

「あら、お二人とも仲良くはなしちゃって、もしかしてそういうお関係ですか?」

すまないがコイよ、私は一度も微塵たりともシンにそういった感情を抱いたことはない。齢もまあまあ離れているしな。

「今ね、ジュコウが小説を書いてたっていうから見に来たのよ。ほら、コイも一緒に応援しましょう!」

「いらないよ、私はうるさいと集中ができないからね、ありがたいけどいらないよ」

だが、元気がよいのはいいことで私も元気がもらえる。もう少しこの二人との話を続けよう。

「小説が出来上がったらさ、私にもみせてよ」

「いいよ」

こう二人から求められてはさすがの私でも照れるが正直ありがたかった。なにせ私はこの小説を書く前、少し思案していた。本当に私なんかに小説が書けるのだろうか。上手く技法などを操れるだろうか。そんなことを思いながら今も書いている。だがこの二人が私の応援軍に入ってくれたことは私のやる気と自信につながった。そう二人の話しているとこの世界の二大いやな奴が同時に揃った。そうアンガーとウラだ。

「ん?なんだ?お前本なんか書いてるのか」アンガーがこう言い。

「本なんてつまらないものよく書こうと思うね。感服だよ僕は」ウラがこう言う。またく水を差す二人だ。

「なによ、ジュコウは頑張ってるでしょ。それをあなたたちは」

「いいのよ、コイ。こいつらはそういうやつらだから」

私は正直腹がたった。だがよくよく考えてみるとどの物語にでも悪役は必要だ。この二人はその重役を担っている。ありがたいのでは?というかこの二人会議の時にいざこざがあったんじゃないのかなぜ仲良くなっている。やはり類は友を呼ぶといったやつだろうか。そろそろ小説書きに戻りたい。

 「ブー、ブー、ブー、緊急招集、緊急招集、ただちに会議室に集まれ。繰り返す~」ああ、また招集かまあ私は会議は色々な小人が一つのところに集まり意見を出し合うのでそんなに嫌いではない。さあ、行くか。

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私の中の私達 将軍観察 @Syogunkansatu

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