第4話 主人の寝てる間に

 主人は家に帰りご飯を食べ、好きなテレビ番組を見、宿題もまあまあな出来栄えで終わらせ、お風呂に入って寝た。実は主人が寝た後、この主人が寝ている間は私たち心の中に住む小人たちの休憩時間になる。この休憩時間では各々自由に過ごせる。しかし、公務はしてはいけない決まりがある。もし寝ている間に公務をしてしまうとせっかくの寝ている間にいやな記憶を忘れるという行為ができなくなってしまう。人間たるものいやな記憶は抹消しておくべきである。なので私は通常主人が寝ている自由時間は気になっていた本を読んだり思索にふけったり、気の合う友達としゃべったりしている。ほかにも皆していることは様々であるが、なかでも私が気になっているのは、ウラとアンガー。この二人である。なぜこうも私がこの二人が気になっているかというのは一人ずつ順を追って説明していくとしよう。

 まずウラ。こいつは前にも話した通り主人の真の姿を現すシンと姉弟である。そして姉は真の姿を映し出すのとは裏腹に弟は裏の姿を作り出す。どういうことかというと、簡単に言えば家では姉優位、学校では弟優位とでも言っておこうか。だがこれではじゃあ主人は学校に行っているときはずっとウラが公務をしているの?と思ってしまう読者もいるかもしれない。だがそれは違う。これは主にウラが中心となって運営していきその周りを他の小人が補佐していくといった感じに近いだろう。さて、心の中の仕組みについて話したところでなぜ私がウラのことが気になっているかということを述べていこう。ウラは主に休憩時間の時はしかめっ面をして椅子に座っている。何をしているかも、何を考えているかもさっぱりわからない。ほかの大多数の小人たちは娯楽場へ行ったり、昼寝を楽しんだりするがだ。一見そんなやつを見てなぜ興味が湧くんだと思う方が多いだろう。だがしかし私にとってはとても興味深い人物なのである。公務中はあんなにうるさくシンの公務中に小言を挟みいつもひねくれている。なのに休憩時間中は静かに黙ってぼーっとしている。なんだ?いっちょ前に反省でもしているのか?今度一遍話をしてみよう。

 次にアンガー。こいつは主に怒りの感情を司る。人間にとっては捨ててはならない大切な感情。と本に書いてあった。本当か?理由はこうだ。アンガーは公務中はすごく怒る。休憩時間中は怒る。一言にまとめよういつも怒っている。大体の小人たちは公務中は自分の担当している感情を外へ出すように働いており、休憩時間中は休んだり娯楽を楽しんだり、担当としている感情がでることはあまりない。しかしアンガーは律義にもずっと怒っている。ご苦労様だ。大多数の小人の行動パターンと同じではない。これが私がアンガーのことが気になっている証拠だ。まあ私も休憩時間中に律義にも考えを巡らせている私もたいがいだか。意外とアンガーとは気が合うかもしれない。

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