別の性別の優先
騒がしいなぁああ。これじゃあ集中して動画も見れないよ。
文化祭なんてしょーもねええー
けっ!やっぱりあの男。男っていう名の男じゃねえか。
しかも典型的な太陽がよ。なんなんだよ、結局飾り付けの仕事が終わったら俺を置いて消えていったわ、クソが。
やっぱ冷めたぁ。はー。なんであんなやつにドキドキしたんやろか。
友達がいないから、俺は誰もいない教室でマキト様の最新動画をチェックしていた。
「あれ、島野さん?」
「ごあああああっ!?な、、んじゃ」
「どした?w」
「そちらこそどうしたんです、」
「いや、実はちょっと忘れ物…あれ?なんか動画見てた?ごめんね。俺すぐいくから。」
「ははは…うゆ。」
「ゆw島野さん面白いねwあ、あったあった。」
山田くゆは、机の闇の中に手を入れて引っ張り出した。
「あ、」
「ん?どした?」
「いや、なんでもも」
「あ、おけ。じゃあね!」
「ばいびー…」
今の、飾り付け用の折り紙の余り。
それで作ったのかな…あの猫とかひよことか。
あれ…何でこんなにドキドキするんだろ。
気付くと俺は無意識にマキト様の動画の再生を止めて、こっそりと山田くゆの後ろをついていっていた。
どこまで行くんだろう…。
罰ゲーム、悪くない、、かな、
…止まった!
図書室前の少し広い廊下で山田くんが止まった。この時間は流石に誰もいない。
え、
「あずさ、これあげる!折り紙上手くなったんだ。ありがとね。」
「可愛い!すごいね!」
「ありがと!じゃあお店いこっか!」
「うん!」
2人は手を繋いで廊下を後にした。
結局…そうなんだよね。みんなそうだ。
山田くんの女子っぽさなんて結局女子のために使われるんじゃん。男じゃん。
マキト様みたいな理想の王子様じゃないじゃん。
何が罰ゲームだよ。私なんて、私なんて無理に決まってんじゃん…!!
自分で勝手に冷める。タイプも変わってて顔もブスな私が告白なんて出来るわけない…!
いつから、こんなに捻くれちゃったんだろ。私。
「ううううっ、う。」
あれ、誰か泣いてる?違う方向の廊下かな…
「あ、あいつ。罰ゲームで告白しろとか言ったやつじゃん、早く逃げないと。」
「ううううっ、う、」
何で泣いてんだよクズやろう。
ん、あれ、もしかしてチョコかな。
階段から逃げようとしたが手に何か持っていることに気付いた。それをあいつは自分の口に運んでいた。
「なんで…好きになっちゃったんだろ。なんで、チョコまで用意したのに。」
「チョコ…?」
「あ、何見てんの…」
「いや、別に…俺は」
「それきもいからやめろよぅ…ぅぅ。」
「何も上手くいかない…何も…男子が好きそうなもの持ってきたのに」
相手が誰かはわからないけど、相手の性別は間違いなく男だろう。男って男だ。男子が喜ぶというイメージで湧いてくるのはチョコレートだ。まさに女子って感じの答え。
私は、まっすぐな恋を今、目の前で見ているのかも…
男子っぽさも女子っぽさも結局好きな相手のことを考えての行動なのかな。
「あぁぁ…、」
チョコのかけらがボロボロと廊下に落ちていく。
「もう、自分が大っ嫌いっ…。」
なんだか心に大きな穴が空いた気がする。
もっと女子らしくなりたい…ならなきゃ、ダメなんだ。
「私がもぅっと、、可愛ければよか、ったかな…」
王子様にしちゃいけない恋をした 学生作家志望 @kokoa555
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