AOHARU

秋坂ゆえ

貴方の「青春」は今でも美しいですか

 俺らの青春を映画にするなら

 アンディ・ウォーホルの「Sleep」ばりに

 動きがなく 長時間のもの


 だって俺らには

 時間が薄かった

 あまりにも

 波瀾万丈 なんて言葉が

 羨望の風に吹かれて 哀れにも枯葉と化した

 すべてが 緩慢・緩慢・緩慢 だった


 それでも

 何もなかったわけではない 

 と 俺は今でも信じている

 

 緩く繋がっていた俺ら

 紐が長すぎる糸電話

 或いは 彩度の低い色恋沙汰

 だけど あれは 俺らの青春であり

 少なくとも俺にとっては

 生涯唯一のもの


 だから

 あれはあれで

 それなりに良い青春映画だ


 八時間以上 映画館で見る覚悟があるならね


                            【了】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

AOHARU 秋坂ゆえ @killjoywriter

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ