第26話 秘伝のトロロ!? タモツ覚醒(性)
カオリは走った……
カオリの思考は99パーセントがタモツとの目眩く官能で、1パーセントでシオリの呪詛を解呪する事を考えている。
カオリは走った……
今のカオリの脳裏には秘伝のトロロが渦巻いていた。アレを食べたタモツがどうなるのかしらと……
カオリは走った……
自分もタモツとの初夜を迎える日に食べた秘伝のトロロを思い出しながら……
カオリは走った……
いや、もうええっちゅうねんっ!?
とにかくカオリは加速を切らす事なく走って京都までの道をひた走る。
「うふふふ、もうすぐだわ!? 直ぐにミネさんに秘伝のトロロを…… ハッ、また間違っちゃったわ! 先ずはシオリちゃんの解呪ね」
どうやら1パーセントの思考が仕事をしてくれたようだ。
カオリはやっと煌宮の屋根が見える場所まで戻ってきた。そこで加速を止めて歩き出す。
「うふふふ、何だか若い頃よりスキルが長く使えてるわ。嬉しい」
若い頃のカオリならば大和州から
年を経てスキルの扱いが上達したのか? それともスキルそのものがレベルアップをしたのか? カオリはチラッとそう考えたが、分からない事を長く考えるタイプではないのでそこで思考を放棄した。
「さあ、やっと着いたわ!」
気づけばカオリは煌宮の入口にたどり着いていた。そのまま中に入る。入口を守る煌宮警察の者もカオリだと分かっているので何も言わずにカオリを通した。
煌宮内を進むカオリに煌宮前庭で声をかける者がいた。
「オーウッ、カオリ!! モドッタのネッ!!」
「あら、レア
声をかけてきたのはカオリの兄で皇家当主でもある宗一の妻、アマゾネス·レアであった。
「シンパイしたのでぇース! カオリ、ヒトリで【トーダイジ】にムカッタとキイテェー。ヤッパリ、ヒトリだとワカッテかえってキタですネー、サスガ、カオリ!」
レアの言葉にカオリは首を傾げながら答えた。
「あの、レア義姉さん。もう行ってきたのよ〜。必要な物も手に入ったから戻ってきたの」
カオリのその返答にレアが固まる。
「あらあら、どうしたの? レア義姉さん?」
固まったままのレアにカオリがそう声をかけるとレアが一気に喋り出した。但し、母国語で……
「○✕△◇□☆♡✡♧♤★✔✗◑◆▶♤!!」
「あら? ええそうよ、レア義姉さん。明王部の8階層まで行ったら帰ってくれって言われて外にだされたからそのままここに戻ってきたの」
分かるんかーいっ!? というツッコミがどこかから聞こえたのは気の所為か……
カオリの返事を聞いたレアはブツブツと独り言を漏らしていたが、ハッとしたように今度は日本語で喋り出した。
「オーウッ! ソレならハヤくシオリにアッてヤッてクダサーイ!」
「ええ、勿論よ。レア義姉さん。でもその前に…… ミネさーん!!」
突然カオリが大声でミネを呼ぶ。すると、そこに居たかのようにミネがスッと現れた。
「はい、カオリ様。安心して下さい、ちゃんと準備は出来ておりますよ」
現れたと同時にカオリの聞きたい事が分かっているかのようにミネは答えた。
「さすが、ミネさんね〜。うふふふ、それじゃシオリちゃんの呪詛を解きに行きましょう」
ミネの返事に満足したカオリは足早にシオリの元へと向かった。レアもミネもその後ろに着いていく。
「ヘイ、ミネ。ジュンビってナニ?」
道中でレアに問われたミネは素直に答えていた。レアもまた
シオリの部屋に入るとタモツが居た。
「あなた、お待たせ! 手に入れたわよ!」
カオリが部屋に入るなりそう言うとタモツは目に見えてホッとした顔をする。
「良かった、無事に戻ったんだね、カオリ。シオリの状態は少しはマシになったように僕には見えるんだけど、どうかな?」
タモツの言う通り、追加の呪詛が煌宮内に入ってこれない上にシオリの中を蝕む呪詛もタモツがシオリの体内に張り巡らせた【盾】により、動きを封じられているので呼吸は安定し、顔色も良くなっていた。
カオリはひと目シオリを見てタモツの行っている盾の状態を悟る。
『
内心でそう思いながらもタモツへと愛情たっぷりに声をかけるカオリ。
「凄いわ、あなた! もう、惚れ直しちゃったわ! ミネさん、疲れてる主人に先に食べさせて上げてくれないかしら?」
ミネはカオリの言葉に驚きながらも了承した。
「よっ、よろしいのですか? はい、分かりましたカオリ様。タモツ様、コチラへどうぞ」
ミネにシオリの寝ている部屋にある机の元へと案内されたタモツはミネが収納から取り出したトロロを見て嬉しそうにした。
「あっ、自然薯ですね。有難う御座います。大好きなんです」
そんな言葉を背に聞きながらカオリは愛染明王から貰った神符(解呪·中)を取り出してシオリの胸の上に置いた。
「愛染明王様の慈愛溢れる護炎によりてこの者を蝕む
カオリが唱えた途端に神符より仏聖の炎が上がりシオリの体内へと沈んだ。
だが……
「う〜ん…… 殆どは消えたけど、まだ呪詛が残っているわ! これはコチラも使用しないとダメみたいね」
この世のありとあらゆる
それはやはり妖蓮が異世界の邪神の力をも取り込んでいた為であろう。
カオリが神符(解呪·絶)を取り出してシオリの胸に置こうとした時にその声は上がった。
「ふおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!! 我、覚醒(性)せり!!」
それは秘伝のトロロを全てたいらげたタモツの叫び声であった。
「ふうぅぅぅぅぅぅぅぅぅーっ!! 邪なる想いにて我が妹を蝕む者よ! 消え去れーーーっ!! 【神命破邪護盾】!!!!!」
タモツの唱えた言葉により、シオリの体内を蝕んでいた呪詛は消え去り、更には呪詛を送り込んできていた妖蓮にまでその光輝く盾が飛んでいったのであった。
「グワーッ! な、何じゃ! なっ、何故、ここに? ギャーッ、き、消える、我が恨みが、呪いが、き、き、消える……」
盾に撃たれた妖蓮はそのまま肉体が消滅し、魂だけとなってしまった。
『グッ、ガガガッ! よもやこのような使い手が橘におったとは…… しかし、我は消えぬ! 魂となっても我が恨み、呪いは消せはせぬっ!!』
魂だけとなった妖蓮がそう呟いた時にソレは妖蓮の後ろに居た。
『待っていたぞ、この時を……』
『なっ!? ぬ、主は!? 何故?』
『お主に騙され喰らわれたが、我もまた神の端くれよ、機会をずっと伺っておったのじゃ。これで我も恨みを晴らせるわっ! お主の魂、我の血肉となれいっ!!』
『ギャーッ! や、止めろっ、よせ! 我は、煌家の者どもを根絶やしに…… せ、ね、……』
『そのような望みは我の預かり知らぬ事よ…… さて、一瞬であったとは言え人ごときに喰らわれるとはな…… 一万年ほど隠れて過ごさねば他の邪神たちに笑われてしまう…… 我は暫く次元の狭間にて過ごさねば……』
その言葉を残して異世界の邪神は地球より消えた。妖蓮もまた、輪廻の輪にも入れず永久にこの宇宙から消え去ったのであった……
そうとは知らないタモツ。
「カオリーっ!!」
「あなたーっ!!」
覚醒(性)したタモツの愛を受け止めるべく、カオリはまだ秘伝のトロロを食べていないことを忘れて、宿泊しているホテルへと2人並んで走って戻り、そして……
「こ、こんなの、は、初めてよーっ、あなたーっ!! 素敵よーっ!!」
カオリの嬌声は三日三晩続いた……
これ、カオリまで秘伝のトロロを食べてたらどうなった事やら……
ダンジョン攻略した私は人妻ですけど何か問題が? しょうわな人 @Chou03
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