第3話 リバティータワー新宿

 時刻までの暇つぶしは漫画喫茶で行った。警部と言う肩書きや、特別捜査課と言う役職に少しときめいてしまったのかもしれない。時間が近づくにつれ、不安が募っていた。自分が特別捜査課に何故選ばれたのか、警部に急に昇進したの理由があるのか、他にもメンバーはいるのかとか、そういう思考が回ってしまい落ちつかなくなってしまった。そんな無駄な思考を働かせるとアラームが鳴った。リバティータワー新宿に向かわねば。


 エントランスで3801を押すと入室が許可された。エレベーターで、無駄に高いビルの38階1号室へ向かう。入室すると革靴が1つあった。これはおそらく鶴城のだろう。それと、スニーカーが三足あった。サイズはまちまちだが、同じメーカーのものだ。僕は革靴を脱いで入室した。


 入室すると、国家公安委員長の鶴城がホワイトボードに立っていた。白髪混じりの中年男性がその前の椅子に座っていた。テーブル越しの向かいのふたつの椅子にはそれぞれ僕と同い年くらいに見える男と女がいた。何やら、取り分け汚い英語でいい合いをしていた。白髪混じりの中年男性の後ろの椅子にすわると、鶴城は語り出した。

「諸君らは、今日から国家公安委員長である私の直属の組織として、働いてもらう。内容は警察組織の犯罪を暴くことだ。一週間後、警視庁公安部組織犯罪対策課は松本組に薬物の捜査で突入する手筈となっている。この、松本組は警察組織に内通者を持っている。この内通者、の名前は桜木。神奈川県警交番勤務の男だ」

 その鶴城の言葉に僕は言葉を失った。桜木は僕の先日までの上司である。テーブルの資料には松本組


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蒼の拳銃 黛 美影 @midorineko

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