第3話 行政法(3)行政作用

第2節 行政作用

行政作用は、【1】行政立法【2】行政行為【3】行政上の強制措置などに分類される。


【1】行政立法

法律は、唯一の立法機関である国会が定めるのが原則だが、法律の規定を実現するために、行政が政令などの規範を定める行為があり、それを行政立法という。

行政立法は、法的拘束力がある法規命令と、法的拘束力のない行政規則に分類される。

《1》法規命令

(1)権限の所在より①政令②内閣府令・省令③外局規則に分類される。

①内閣が閣議によって決定する政令 

②内閣総理大臣や各大臣が制定する命令である内閣府令・省令

③外局の長が長が制定する外局規則

がある。

(2)法律との関係により①委任命令と②執行命令に分類される。

①委任命令

法律の委任を受けて、国民の権利義務に効力を持つ規制を行政機関が定める命令。

②執行命令

法律を実施するために必要な具体的な事項を定める命令。

《2》行政規則

行政の具体的な行動に統一性を保たせるための、行政内部での法解釈の基準。法的拘束力を持たないため、法律の根拠なしに定めることが出来る。

①訓令・通達

行政の一体性を保持するために出される内部的な命令。書面化された場合は通達となる。


【2】行政行為

行政行為は、行政庁から、法律に基づいて、一方的に国民の権利義務に効果を及ぼす行為とされる。

行政行為は、法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為に分類される。

《1》法律行為的行政行為

法律行為的行政行為とは、行政庁に意思があり、その意思を表示して法的効果を及ぼす行政行為のことをいう。行政庁に裁量を認められることが多い。

法律行為的行政行為は、(1)命令的行為と(2)形成的行為に分類される。

(1)命令的行為

命令的行為とは、国民の自然な自由を禁止、制限する行政行為のこと。

命令的行為には以下のものがある。

①下命 

もともと自由な行動に対して、作為(租税の納付命令など)、不作為などを課す行為。不作為義務を課す命令を禁止(営業停止・禁止命令など)という。

②許可 

もともと自由な行動に対して、あらかじめ一律に禁止しておき、個別の申請に基づいて禁止を解除する行為をいう。(自動車の運転免許など)

③免除 

下命を解除(租税の納付義務の免除など)する行為をいう。

(2)形成的行為

形成的行為 とは、国民に対して、本来はもっていない権利や法的地位を設定する行政行為をいう。

形成的行為には以下のものがある。

①特許

本来は認められていない権利や法律関係を、特定人のために設定する行為をいう。(道路の占用許可など)

②認可 

当事者間の法律行為を補充することで、その法律効果を完成させる行為をいう。

(農地の権利移転の許可など)

③代理

行政主体が、第三者がなすべき行為を代わりに行うことで、結果として第三者が自ら行ったのと同じ効果をもたらす行為をいいう。

《2》準法律行為的行政行為

準法律行為的行政行為とは、行政庁の意思は存在せず、法律の規定によって成立する行政行為をいう。法律によって効果が定められているため裁量は認められない。

①確認 

特定の事実や法律関係の存否を公の権威をもって確定する行為をいう。

(税の決定など)

②公証 

特定の事実や法律関係の存否を公に証明する行為をいう。

(各種登記など)

③通知 

特定の事実や法律関係の存在を、特定人に知らせる行為をいう。

(行政代執行の通知など)

④受理 

他人の行為を有効な行為として受領する行為をいう。

(各種申請書の受理など)

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行政法 肩ぐるま @razania6

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