コンビニに行こう!!
髭を、髭を剃らせていただけますか。
コンビニに行こう!!!
「うぅう~、店員さんと会話するのが怖いからコンビニに入れないよ~」
「大丈夫よ、店員さんもあなたと同じ人間。恐れることはないのよ。」
「でも人間の中にも暴力的だったり犯罪を犯したりする人がいるから、種族が同じというだけで信頼できないよ~。人種や国境、性別などでさえ隔絶があり得るというのに、さらに細分化して『個』という究極の単体で対峙したときに一体どれだけの信頼関係を築けるというの~? 」
「ふふ、安心して。『個』としてではなく、『全』として店員さんに接すればいいのよ。そのための装置を持ってきたわ!」
「これは?」
「生物融合スイッチよ!全人類を融合して、『全』の立場として店員さんと会話するのよ!」
「おー!その手があったか~!」
「ではスイッチを押して融合しましょう。」
『ポチッとな。』
その瞬間、地球上のすべての人類は融合し、一つの巨大生命体へと進化を遂げた。
しかし、私にはわからなかった。この生命体が、集団であるのか、個であるのか。
かつて、私は人間として、60兆の細胞を従え、一つの意識を作り上げていた。
今の私には、私が孤独であったのか、他者と接していたのか、それすら判断できなくなっていた。
『全』や『個』といった認識は、認識するモノの立場からの二次元的思考であり、どこまでが存在であるのか、どこまでが意識であるのか、それは頂点にいる意識でなくては見下ろすことのできない、地平の向こう側なのだ。
結局、私は、コンビニに入ることができなかった。
コンビニに行こう!! 髭を、髭を剃らせていただけますか。 @PApaKATSU-JOSHI-DESU
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