勇者ひまり

@waterwaterwat

勇者ひまりとご褒美

「こ、こわいよー!たすけてぇー!」

ひまりは暗闇の中様々なお化け達に追いかけられていた。

-カチャカチャカチャ

-ゴンゴンゴン

-ズリズリズリ


互いにぶつかり合いながら走ってくる、-や+、×などの記号に手足が生えたお化け。

飛び跳ねながらこちらに迫る、跳び箱に腕が2本生えたお化け。

這うようにこっち向かってくるへの字。

などなど

どれもひまりよりも一回りも二回りも大きいお化けたち。

にげてもにげても追ってくるお化けたちにひまりも息が切れかけている。

そしてあてもなく逃げ続けていると、

-ゴンッ

ひまりは何もない空間におでこをぶつけてしまった、気づかない間に暗闇の端っこまできてしまったようだ。

「はぁはぁ、ぅう、うぁぁぁあん!」

ついに泣いてしまったひまり、それでもそんな事はおかまないしにひまりに迫るお化け達。

ひまりは恐怖で声も出なくなった時、自分の右手が暖かくそして光に包まれている事に気がついた。

ひまりは何かに気がづいたようにその手をお化け達に向けてかざす、その目にはもう恐怖なかった

「おばけさん!ひまのかちだ!ひまひまビーム‼︎」

-カッ!

「「ぐわぁ~」」

そしてひまりのビームにやられたお化け達はチリとなって消えていった。

ほっと胸を撫で下ろすひまり、するとさっきまで真っ暗だった空間に亀裂が走りそこから光が入ってきた。

眩しさでひまりが、そこにはひまりの手を優しく握る母がいた。

「ママがいるから大丈夫よ、私の可愛いお姫様。」

そう微笑みながら言う母は、ひまりのおでこに張り付いた冷えピタの上からそっとキスする。

「べっ、べつに怖くなかったよ」

小学生になりたてのひまりは、そう恥ずかしそうに言うと母はより一層優しく微笑む。

ひまりはなぜか余計に恥ずかしくなり母の手を振り解いて顔が隠れるくらい布団を引き上げた、

困った顔をする母だったがその後すぐに布団から上半身をだしてひまりは甘えたような顔で両腕を母にひろげるのだった。

そして自分の満足のいくような温もりに包まれて今度こそひまりは素敵な夢の世界へ旅立つのであった。


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