人権確立後の階級社会の存在について
十司新奈
人権確立後の階級社会の存在について
著者●◆.J.▲■
Abstract 要約
人類の平等やその普遍的な権利について最初に論じられたのは、論者によるもののフランス革命やアメリカ独立戦争などの時期に遡り、今まで様々な視点から議論がなされ、また未だに議論が存在する。
この論文では古来から議論が行われていない、あるいは意図的に議論が無視されてきた、根本的な「人類の平等」、「人権」とおよそ相反するであろう「階級社会」が人権思想と不可分の関係にあることをマルサス主義的観点から論ずる。
Introduce 導入
我々が着目したのは、人権思想の発達後未だに解消されない階級社会の存在である。人権思想やそれを反映した憲法や法制度の是非について、我が国の10~60代の男女1000人にオンライン上でのアンケート調査を、「良い」「やや良い」「やや良くない」「良くない」「分からない」の五段階で調査を行ったところ、「良い」「やや良い」が実に97%を占め、「分からない」「良くない」「やや良くない」などは殆ど存在しなかった。
また階級社会の存在の是非についての調査を行ったところ、「良くない」「やや良くない」が過半数の89%を占めた。
「良くない」「やや良くない」と答えた回答者に解決方法を答えて貰ったところ「税率の改正による下層階級への補助拡充」に相当する回答が80%以上を占め、続いて「分からない/解決不能」「革命による配給制」が挙げられた。
Discussion 議論
ここからはマルサス的視点から、階級社会と人権思想の不可分を論ずる。
マルサスの人口論では「人間の数は等比級数で増加するが、食料は等差級数でしか増加しない」という原則が前提として挙げられる。
ネズミ算式に増える生物の数と、毎年一定量しか取れない食料の供給量のバランスが崩れた時、溢れた人口を調整するために「悪徳」として間引き、戦争、飢餓などが発生し、食料供給に釣り合うまで人口は減少するという。
この「悪徳」は人口増加の積極的妨げとも呼ばれる、現代の人権思想とは相いれない事件である。現代ではこの「悪徳」が先進国では起こらないことなどから、人類はマルサスの罠を脱したとされることもあるが、前述の通り「悪徳」は人口増加と食料供給のバランスが崩れることで発生し、我が国の場合人口は減少を続けているためこの「悪徳」が発生しないと考えられる。
では人口減少の原因は何だろうか。
この原因は複合的なものであると考えられるが、子を持ちたい親に子を持てるだけの経済的余裕がないことが大きな原因であると考えられる。これはマルサスの論文でも触れられているが、人口増加の消極的妨げに当たる「子を持つことで下層階級の暮らしに落ちてしまう事を危惧して子作りを控える」現象である。
ここで「下層階級への補助拡充」を行って、金銭的余裕のない家庭でも子供を持てるようになった際のシミュレーションを行ってみると、我が国の経済成長を超える人口の急速な増加、それに伴う「悪徳」が予想される。つまり〝階級社会の解体を試みると、かえって人権的危機を引き起こす〟のである。
Conclusion 結論
今回の研究において我々は、かつては生来の身分の差を廃するために生まれた人権思想の誕生によって階級社会が恒久的なものとなったことを指摘した。今後、階級社会の解体を試みた過去の事例についてもマルサス的視点から議論を行い、その際に如何に人権が踏みにじられてきたかを調査する方針である。
References 参考文献
『人口論』T.R.マルサス
『人権思想の芽生え』 M.K.ウルトラ
『階級制度の始まりと現代』 F.K.フェイクス
人権確立後の階級社会の存在について 十司新奈 @TotsukasaNiina
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